感動的な結末からも学ぶべき点は多い。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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ここまでドラマチックで感動的で胸躍る展開になるとは、誰が予想したでしょうか。第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、日本時間22日、日本の14年ぶり3度目の優勝で幕を下ろしました。
大会MVPに選ばれたのは、文句なしの大谷翔平(エンゼルス)。大谷は、大会のベストナインでも投手と指名打者で同時選出されています。もちろん、ほかの選手も大活躍したからこその優勝ですが、大谷の投打にわたる活躍には世界中がうならされました。
大谷が“別格”っぷりを見せつけたのは、試合中だけではありません。試合後のインタビューでも、次々に繰り出される「大谷語録」には世界中がうならされました。そこには、私たちが忘れてはいけない「ひととして大事なこと」が詰まっています。感動の余韻にひたりつつ、ひときわ印象に残った言葉をピックアップしてみましょう。
大きな話題を呼んでいるのが、決勝戦のあとに行なわれた米メディア『FOXスポーツ』のインタビューでのやり取り。そこで大谷は、MLBで通算696本塁打を放ったアレックス・ロドリゲス氏と、レッドソックスで541本塁打を放ったデビッド・オルティズ氏のレジェンド二人から質問を受けました。とくに注目したいのは、次の3つの回答です。
「僕らはアメリカの野球をリスペクトしているし、彼らの野球を見本にしてこれまで頑張ってきたと思うので、今日はたまたま勝ちましたけど、これからもっともっと高いところを目指して頑張っていきたいと思います」
アナウンサーの「日本で見ている人々にはこの勝利はどういう意味を持つか?」という質問に対して。アメリカの地でアメリカ代表チームを倒しましたが、あくまでも謙虚に相手を立てつつ、敬意と感謝を示しています。一見、質問に答えていないようでいて、ちゃんと「意味」を伝えているところに、並外れた聡明さを感じずにはいられません。
「日本の田舎であまりチームも少ないようなところでやっていたので、日本の人たちからしても頑張ればこういうところでできるんだというのは、よかったんじゃないかと思います」
オルティズ氏の「真剣な質問をするが、どの惑星から生まれたのか?」というジョーク混じりの変化球に対して。半端にボケるわけでもなく、真面目に「地球です」と返すわけでもなく、自分の故郷の話にもっていったところがお見事。田舎で野球をしている子どもたちはさぞ大きな勇気を授かり、地元の人たちはさぞ感動したことでしょう。