若かりし頃の姿
ここで私が記しておきたいのは、松本潤と阿部寛の時代劇共演についてだ。黒澤明監督の不朽の名作を、劇団☆新感線の中島かずきが大胆に脚色。『シン・ウルトラマン』の樋口真嗣が監督を務めた、2008年公開の映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』だ。
戦国時代、山の民の武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)は、残忍な山名軍に攻め落とされた秋月軍が隠した金百貫の軍資金を偶然、発見。だが、屈強の大男・真壁六郎太(阿部寛)に脅され、ふたりは秋月の雪姫(長澤まさみ)と金を秋月領に運ぶことになる。山名軍の領土を突破する危険な道中、六郎太と姫は捕らわれるが…。この映画では、松本も阿部もヒゲもじゃで汚れ放題。だが、傷だらけになりながらも六郎太は、とっさに「姫を頼むぞ」と大事な物を託す。ギリギリの協力者だった。
公開当時の松本潤は20代半ば。なお、『どうする家康』で、家康になかなか名前を覚えてもらえない夏目広次役の甲本雅裕は、この映画では山名軍の怖い武将役で、武蔵の命を狙った。史実では夏目も三方ヶ原の戦で重要な役割を果たすので、注目したい。
映画で阿部寛の胸を借りた松本が、大河の主役として、激突する。感慨深い。
阿部寛