ライフ

「減塩」が健康に悪影響を与える可能性「塩分摂取が少ないと寿命が縮まる」のデータも

(写真/PIXTA)

「減塩」はむしろ悪影響?(写真/PIXTA)

 日本古来、伝統的な調味料であるしょうゆやみそ、便利で身近なレトルト食品やコンビニグルメ、スナック菓子。さらには乾麺や缶詰、粉末スープまで、いまやあらゆるジャンルから「減塩商品」を選ぶことができ、「減塩生活」はすっかり日本人の生活に定着した。

 パッケージに書かれた塩分含有量を必ずチェックするという人も少なくないだろう。

 減塩ブームは日本だけのものではなく、いまや世界的な傾向となっている。根底にあるのは世界保健機関(WHO)が示すガイドラインだ。

「塩分の過剰摂取によって血圧が上がり、血圧が上がると心筋梗塞や脳卒中になり、死に至る」という見解から、塩分は完全に悪者にされ、成人の塩分摂取量として1日あたり5g未満という指針を示している。

 日本でもこれをもとに、厚生労働省が成人男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満という数値目標を設定しているが、この数値について「まったくあてにならない」と、内科医の大脇幸志郎さんは断言する。

「WHOの目標と日本の基準には約2%の差がありますが、それは明確な研究データがないからです。厚生労働省の調査によると、日本人は現状で1日あたり9~10gの塩分を摂取しており、WHOの目標を達成しようとすると約半減させなくてはなりません。食べているものをすっかり置き換えるような対策が必要です。つまり、達成が不可能な現実味のない目標なのです」

 加えて、日本人はもともと、塩分を多く摂取してきた歴史があるというのは、『最新医学データが導き出した 薬・減塩に頼らない血圧の下げ方』著者で山口醫院院長の山口貴也さんだ。

「日本人はかつて塩分を17~20g、地域によってはもっと多く摂取していた時代もあります。肉や魚を塩漬けにして保存したり、漬けものなどの食文化があったので、塩分摂取量が多かったのです。それでも日本は世界的な長寿国でした。

 かつての食生活から比較すれば日本人の塩分摂取量は約半分になり、圧倒的な減塩が達成済みといえます」

 それなのになぜ、いまもなおこれほどまでに減塩が求められるのか。それは、減塩にさまざまな健康効果が期待されているからだ。

 具体的には、高血圧症を改善し、高血圧による不調の改善が期待されるほか、腎機能の低下や脳卒中、心臓病、骨粗鬆症などのリスク軽減への期待などが挙げられる。

 日本高血圧学会も《高血圧の治療においては食塩制限が重要で、日本高血圧学会は1日6g未満を推奨しています。食塩と高血圧の関係はよく知られていますが、食塩摂取量が非常に少ない地域では高血圧の人はみられず、加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが示されています》としたうえで、《食塩制限は、正常血圧の人にとっても、高血圧の予防のために意義が大きいと考えられます。日本では塩分の摂取がまだ多い》と指摘。

 高血圧にならないためには塩分を控える必要がある、という理屈だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン