臨床で頻用される漢方薬
主要評価項目は患者印象(OTE)で、副次評価項目を便の硬さの改善、排便周辺症状の改善とし、投与後のOTEは大建中湯群がプラセボ群より有意に高く、周辺症状も有意に改善したのである。
「大建中湯に含まれる山椒の主成分ハイドロキシαサンショオールは効率よく体内に吸収され、血流を経て大腸に到達し、運動を活発にさせます。同時に知覚神経に存在するTRPV1チャンネルも刺激して神経ペプチドの作用を介し、消化管運動を促進するなど、その作用機序の解明が進められています」(眞部教授)
大阪大学が実施した排便と下剤使用の心血管イベント(CVD)の関連を調査する大規模コホート研究では、便秘はCVD危険因子の可能性があり、出ないからといって高頻度の下剤使用は冠動脈疾患と、虚血性脳卒中の危険因子になりうる―と発表した。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年5月5・12日号
眞部紀明・川崎医科大学検査診断学教授