大関取りの霧馬山(時事通信フォト)

大関取りの霧馬山(時事通信フォト)

千秋楽決戦も!?

 一方、番付としては幕内下位ながら、霧馬山と同様に注目を集めているのが前頭14枚目の朝乃山だ。大関として期待されるなかでのスキャンダルがあって6場所出場停止処分を受けたが、昨年7月場所で三段目に復帰。6場所目で幕内に戻ってきた。復帰後の5場所の成績は46勝5敗。ファンの間では“早く大関に復帰してほしい”“そして横綱へ”といった期待の声は大きい。

「現実問題としては、今場所の地位でどんなにいい成績をあげても前例からして次の7月場所の番付は前頭上位までしか上がらず、三役復帰は最速で9月場所。そこから3場所33勝の目安を満たす大関復帰を目指すのだから、“再大関”は早くても年明け以降になる」(前出・若手親方)

 ただ、幕尻に近い地位でも優勝争いに絡むことはできる。朝乃山も今場所の“主役候補”のひとりと言えるだろう。前出・担当記者が言う。

「ここ数場所を見ても、関脇や小結ら上位陣は星の潰し合いになる。幕内下位同士での取組が多くなる朝乃山のほうが、霧馬山よりも白星を重ねやすいでしょう。今場所の番付には前頭7枚目以下に霧馬山と同郷のモンゴル出身力士が6人(逸ノ城が番付発表後に引退。北青鵬も含む)と集中しており、朝乃山にとって難敵になるかもしれない。そうしたなかで2人が白星を重ねられれば、最近の傾向として場所終盤は番付に関係なく星勘定がいい力士同士の取組が組まれるので、霧馬山と朝乃山の優勝を懸けた千秋楽の“直接対決”も期待できるでしょう。

 朝乃山の大関復帰には1年はかかるわけですから、その間に霧馬山が大関に昇進し、横綱に駆け上がることができるのか。直接対決が実現すれば、それを占う一番になるのではないか」

 危機の大相撲を救う“次代の担い手”となる力士は、こうした切磋琢磨のなかから生まれてくるのだろうか。

※週刊ポスト2023年5月19日号

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