「海援隊」として『贈る言葉』を歌い、『3年B組金八先生』(TBS系)では、32年間にわたって熱血教師・坂本金八役を演じた武田鉄矢さん(74)。『101回目のプロポーズ』『バージンロード』(いずれもフジテレビ系)など数多くの人の記憶に残るドラマや映画に出演してきた。還暦を過ぎ、「まだ成長したい」と門を叩いたのが合気道だった。合気道は技術だけではなく、心が折れた武田さんに思いもよらぬ発見をさせてくれるという。デビューから52年、NEWSポストセブンの取材に武田さんが70代の生き方と俳優としての松本人志との夢について、思いを明かした──。【前後編の後編。前編から読む】
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年寄りだからって甘えちゃいけない、まだ成長したいと思って、65歳で合気道を始めました。10年間続けてきて今、3段です。週2~3回、道場に通い、1回45分、若い人に交じって形稽古をしています。おかげで体力がつきましたし、毎回、厳しい教えをいただいて考え方が変わりました。
合気道というのは、実戦がありません。形だけを学ぶ武道なので、いろんなことを考えさせられるんですよね。袴をつけて敵と対峙し、敵が攻めてきたら、かわして、クルッと回転して関節技をきめるのですが、相手が強く掴んできたら徹底して力を抜く。押してきたら押される。押されながら一回転した遠心力で相手をかわすんです。つまり、相手の人がやっつけようとしてくる、その力を借りるんですね。
道場の先生の「敵が攻めてくるのを力にするから、敵が現れたら歓迎しなさい」。襟をつかんで「このやろう」と来られたら、それも縁。そんな考え方が面白いんですよね。だから、私の発言で若い人たちに叩かれて、落ち込んだり、気持ちが縮むときには道場にいきます。先生の「敵と思っちゃダメ」という言葉にハッとさせられたりします。私のことを嫌いな人いっぱいいると思います。でも、その力を借りて、また自分を作っていこう、と思っています。