2人の蜜月は、1989年にひばりさんが死去すると同時に終わり、中村はまたひとりになった。
「だけどそれは、ちっとも悪いことじゃないんです。弔辞で読んだ通りで、ひばりさんに代わるような友達はいません。本当に、誰一人いなくなった。それでも私は、無理して友達を作る必要はないと思っています。
作ろうと思って声をかけるんじゃなくて、袖がすり合うようなふとしたきっかけで自然に友達になるのがいいんじゃないかと思います。私はいまは友達はいないけれど、近所の道を歩いていると、『どうしてそんなにかわいい靴を履いているの?』と全然知らない子供からよく声をかけられて、『かわいいと思ったから買ったのよ』なんてお話をします。そんなちょっとした触れ合いだって楽しくて心満たされます」
『80歳の壁』をはじめとして数多のベストセラーを生み出した精神科医の和田秀樹さん(62才)も「友達がいないといけない」という思い込みは必要ないと語る。
「それはある種の強迫観念であり、友達がいないと不幸だというのは間違いです。ぼくも友達がほしいと思ったことはないし、孤独が楽しめて、友達がいなくても気にならなければ、行動を変えてまで無理して作ろうとする必要はないんです」
※女性セブン2023年5月25日号