スポーツ

羽生結弦の練習拠点も一時営業中止 電気料金高騰で支出は3倍…スケートリンクが直面する窮状

書籍の印税を「アイスリンク仙台」に寄付している羽生(写真/AFLO)

書籍の印税を「アイスリンク仙台」に寄付している羽生(写真/AFLO)

《電気代高騰により6月1日(木)~8月31日(木)まで一般営業を中止いたします》。

 宮城県仙台市にあるスケートリンク「アイスリンク仙台」の公式ホームページにこんな文面が発表されたのは、5月12日のことだった。

 アイスリンク仙台は、同市出身の羽生結弦(28才)が練習拠点として幼少期から過ごしてきた場所で、彼は現在でも、ここで練習を続けている。

 通常、スケートリンクは、一般営業の利用料金とスケート教室の収益を主な収入源として運営されている。ただ、出費も多い。

「スタッフの人件費はもちろん、氷を維持するための電気代、水道費もかかり、維持費は年間で億単位にもなる。一般的なリンクでも、月に2万人以上に利用してもらわないと施設が成り立たないのが実情です」(スケート関係者)

 昨今、リンクの財政面を圧迫しているのが電気代だ。アイスリンク仙台も、電気代の高騰によって支出が以前の3倍にのぼっているという。

 同様の事態は全国的に広がっている。長野県岡谷市の「やまびこスケートの森」は、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年度から赤字に転落。客足が戻り切らないまま、今度は電気代の高騰により、いまも赤字の状態が続いているという。また、富山県富山市の「富山スケートセンター」も、電気代高騰の影響を受け、2022~2023年シーズンの一般営業は4月末までの予定だったのが3月末までに変更になった。

 全国で複数のスケートリンクを運営管理している企業の担当者は悲痛な面持ちで話す。

「元々スケートリンク自体が、運営に余裕がない施設ですので、そこに加えて高額な電気代というのは、かなり困っています。日々のランニングコストにおいて、できるだけ電気代がかからないような工夫をしていますが、それを積み重ねても、やはり大きな改善策とまではいきません。電気料金が落ち着くか、施設が潰れるかどちらが先かといったところです……」

 独自の工夫で何とか運営を続けているリンクもある。

「熊本市の『アクアドームくまもと』では、館内の照明を消費電力の少ないLEDに変更したり、事務所の暖房の設定温度を低くするなどの工夫をして、少しでも氷の管理費用に回す努力をしています」(前出・スケート関係者)

 アイスリンク仙台の管理会社によると、「一般営業の部分がお休みになり、一般営業時間以外の貸し切りに関しては実施すると思います」とのことだ。

 羽生はこの“時間外”で練習をしているため、現状は“閉鎖”という最悪の事態は免れそうだが、日本のスケートリンクの窮状には心を痛めている。今年5月に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)でも、このように話した。

《夏場もやっているスケートリンクが日本はあまり多くないんですね。だから、ぼくの練習のことも含めて、これからの世代の子たちが滑りたいなと思ったときに滑れる環境だったり、フィギュアスケートが気持ちよくできるスケートリンクをいつかはつくるお手伝いがしたいなと思います》

関連キーワード

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン