2005年に日本デビューし、ドラマや映画の主題歌も数多く担当している
雰囲気からして「日本語を話す人」
2005年に日本デビューした韓国出身の歌手、Kさん。ドラマや映画の主題歌を数多く担当しているほか、アーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。ピアノを弾きながら歌う姿、そして声の美しさに魅せられているファンは多い。
わたしがKさんの日本語を初めて聞いたのはラジオだった。KさんがDJを務めるFMヨコハマの番組、「K-style」。もう10年以上前になる。
当時わたしはFMヨコハマでニュースを読む仕事をしていた。ある早朝シフトの日、Kさんが朝の生放送の番組にゲストとしていらっしゃった。爽やかで軽妙なトークを間近で聞き、うまいな、すごいなと感じ入った。
時は経ち、2020年。わたしの仕事はニュースアナウンサーから日本語教師に変わった。コロナウイルスの影響で、非常勤で勤めていた日本語学校はしばし休校となり、対面からオンライン授業への切り替えの間、自宅待機という自由な時間がぽっかりできた。
どうしよう、何しようと考え、まったく知らない言語を一から学んでみようと思いついた。Netflixで韓国ドラマを見ていたこともあり、NHKの「テレビでハングル講座」を録画視聴することにした。
Kさんが出演されていた。番組を進行するナビゲーター役。講師のサポートをする形でハングルの文法や発音の説明をしつつ、生徒役の満島真之介さんをもり立てていた。「あの頃」よりさらにスムーズに日本語を操っていらっしゃる。もう、空気感が完全に「日本語を話す人」だ。
外国語が流暢な人というのは、発音がいいとかよどみなく話せるというだけでなく、その言語の話者の雰囲気を体全体から醸し出せる人だと思う。
「テレビでハングル講座」を見ながら、いつか話が聞けたらなあと思った。番組をすべて録画し、翌年2021年の講座も見続けた。今も家のハードディスクには2年分のほとんどの回が残っている。
インタビューOKのお返事をいただいたときの嬉しさと言ったらなかった。所属事務所にお伺いすると、Kさんは、FMヨコハマのスタジオで見た時と同じ笑顔でわたしたちを迎え入れてくれた。