美しさと見事なスタイルで10代から大活躍した吉川(写真は1999年のIZAMとの結婚会見)
「そのまま死になさい」
宗教二世とは、特定の宗教を信仰する親を持つ子供のことである。親を選べない子供は親の信仰から逃れられず、宗教の教義に従って、幼い頃から肉体的・精神的な負担を強いられることがある。
昨年7月、安倍晋三元首相を射殺した山上徹也容疑者が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の宗教二世であったことで注目度が増した。ひなのの母親が信仰する宗教もこれまで多くの宗教二世が被害を訴えてきた。
「この宗教団体は輸血を禁止し、信者の親が子供をムチで打つことで知られます。ほかにもスポーツ競技や運動会などの応援に参加できなかったり、大学進学や就労を制限される、結婚前の性交渉が禁止される、独身が奨励されるといった実害を二世たちが訴えています」(社会部記者)
ひなのも子供の頃に数多くの被害を受けたという。
「誕生日を祝ってもらえなかっただけでなく、クリスマス会やお正月の儀式もできなかったと聞いたことがあります。競ったりすることも禁じられていて学校の運動会も不参加。校歌を歌うことも禁止で、小学校低学年の頃、『こいつはいつも校歌を歌わない』と同級生の男の子にいじめられたこともあるそうです」(前出・ひなのの知人)
肉体的な苦痛を受けることも少なくなかった。
「幼い頃お母さんにパンツを脱がされ、お尻を革のベルトで叩かれたと語っていました。きょうだいが髪の毛をつかまれて水のシャワーを頭からかけられたり、階段の上から掃除機を投げつけられたこともあったそうです。
当初は自分の被害妄想でお母さんがそんなことをしたわけがないと思い込んでいたようですが、カウンセラーやきょうだいと話し合ううち、誰よりも近いのに、誰よりも遠い存在だったお母さんの記憶が蘇り、過去に受けたさまざまな行為が思い起こされていったと言います」(前出・ひなのの知人)
数々の行為のなかでも衝撃的なのが、「輸血拒否」をめぐる顛末だ。
「小学生の頃、ひなのさんが胸に付けていた名札の裏には『輸血はしないでください』と書かれていました。『事故などで輸血をしないといけない場合、そのまま死になさい』とお母さんに教えられていた彼女は、通学路を横切る車に恐怖を感じ、“どうか私を轢かないでください”と幼心に願っていたそうです。
ところが、当のお母さんは亡くなる数日前に集中治療室で貧血を起こした際、医師のすすめに従ってあっさりと輸血を選択したそうです。あまりに理不尽で処理しきれない思いも、著書にはあますことなく書いたと聞きました。今回、本を書くために、虐待の後遺症とも向き合いながら、かなり覚悟を決めて取り組んだそうです。
世の中に宗教二世の情報が多く出回るようになり、この問題をより深く知ろうと勉強するようになったこともきっかけになったみたいです。お母さんの言動には理解できない面があったとした上で、それでもお母さんを愛しているからこそ、パンドラの箱を開けたんだと思います」(前出・ひなのの知人)
5月中旬に更新したインスタグラムにひなのはこう綴った。
《自分でもどうしたらいいのか、どう思えばいいのかわからなくて、隠すことしかできなかった過去。でも少しずつ乗り越えることができて、ありのままの自分を受け入れたいと思うようになった》
いま母親との35年に及ぶ恩讐を乗り越え、彼女は自らの過去に向き合っている。
※女性セブン2023年6月8日号
6月8日発売の新著。『Dear ママ』(幻冬舎刊)1500円+税