ライフ

日本人は韓国でどんな医療を受けている?満足点トップ3および不満点ワースト3とは

(Avalon/時事通信フォト)

韓国・ソウルの街並み(Avalon/時事通信フォト)

 日本人は韓国でどのような美容医療を受けているのだろうか。韓国保健産業振興院が2023年5月24日に公開した最新調査で、韓国で医療を受けた日本人を含む外国人の実態や満足度が明らかになった。

診療所の利用が多い日本人

 ヒフコNEWSで伝えているように、医療を受けるために韓国へと渡航する外国人が22年の時点からコロナ前の50%まで回復している。日本からも韓国で美容医療を受ける人が増えているとされる。

 韓国政府はメディカルツーリズムに力を入れており、それに関連して政府系の韓国保健産業振興院(KHIDI)がこのたびメディカルツーリズムの実態調査を実施した。

 調査は国籍別にデータが整理され、中国、米国、日本、ロシア、東南アジア、中東などからの利用者の実態が分析された。調査は必ずしも美容医療を受ける人だけを対象にしたわけではないが、美容医療を受けた人が多く含まれると推定される。

 日本人のデータを見ると、調査対象になっていた日本人は112人だった。日本人の特徴を一言でまとめると、診療所の外来で、手術以外の治療を受けているというもの。多くの日本人がおおむね治療に満足していると言えた。

6割以上が「韓流の影響あり」

 具体的には、ほぼ半数が診療所を利用しており、他の国籍の人よりも診療所を利用する人が多かった。中国や米国からの人たちでは、診療所を利用する割合が1割~2割程度だったので、日本人の診療所の利用の多さが目立った。

 こうした背景には、日本人の受けている医療の中身も関係していると見られる。日本人は入院した人が7.5%と他の国籍の人よりも少なく、88.8%が外来で医療を受けていた。また、手術を受けていた人も6.8%と少なく、66.0%が非外科的治療を受けていた。これは推測ではあるが、日本人は自国で保険診療を比較的自由に受けられるので、一般的な病気の治療よりも、美容医療のような自由診療を受けている割合が高いと推定される。

 調査対象になった112人のうち65.2%が女性で、20代が31.3%、30代が24.1%とほぼ半数が20~30代が占めた。平均年収は4万~10万ドルが最も多く、全体の38.4%だった。仲介業者を利用していたのは19.6%だった。韓国の医療を選ぶに当たって韓国文化に接した体験が影響を与えたと回答したのは64.3%。ヒフコNEWSでも取り上げたことがあるが、美容と韓流との関係は深いと指摘されている。この結果からも韓流の影響が大きいことが分かった。

プライバシー保護や治療方針の決定などには満足

 韓国の医療に対する日本人の総合満足度は平均84.4点。満足度の高い上位3項目は「プライバシーの保護」(87点)、「治療方針の決定過程への配慮」(86.3点)、「看護サービス」(86.3点)だった。
 一方で、満足度の低い項目、不満点ワースト3は、「食事の満足度」(66.3点)、「移動時間の案内」(76.3点)、「安全・事故防止のための案内」(76.3点)だった。医療以外の行動に関連した満足度が比較的低いことが分かる。
 メディカルツーリズムをめぐっては、ヒフコNEWSにおいてトラブルの発生についても報告されている。このように韓国で医療を受ける人が多く存在する中で、日本国内でもその実態をもっと把握したほうが良いかもしれない。

参考文献

연구보고서

コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド

美容整形を海外で受ける前に知っておきたいこと、米国の研究から学ぶ潜在的なリスク

韓国のメディカルツーリズムが急回復、2022年にはコロナ前の50%に 米国が警告、美容整形後に真菌性髄膜炎疑い、メキシコでの医療観光に懸念広がる

【続報】2人死亡、メキシコ美容医療ツーリズム感染症集団発生、WHOへの動きも

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン