北海道新幹線開業を前に、祝賀ムードに包まれるJR函館駅前。函館駅に新幹線乗り入れはしていない。2016年03月25日(時事通信フォト)
観光都市としても高い人気を誇る函館にとって、観光客がもたらす経済効果は決して無視できない。ゆえに、新幹線を函館市の中心部に引き込むことは、函館経済を復活させる起爆剤として期待が高い。
大泉新市長は、当選後の5月16日に北海道札幌市にあるJR北海道の本社を訪問。当然ながら、ミニ新幹線の話題も出たと思いきや……。
「大泉市長が弊社を訪問されたことは事実ですが、当日はあいさつのみでした。特段、新幹線の話は出ていません」と話すのは、JR北海道広報部の担当者だ。
ちなみに、北海道新幹線はJR北海道が運行しているが、建設主体は鉄道建設・運輸施設整備支援機構と呼ばれる独立行政法人になっている。JR北海道は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構から委託を受けて新幹線の札幌駅など一部の工事を施工しているに過ぎない。ゆえに、大泉新市長がミニ新幹線構想をJR北海道に打診しても、独断でGOサインを出せる立場にない。
「大泉市長が新函館北斗駅―函館駅間にミニ新幹線を走らせるという公約を掲げていたことについては報道などで承知しております。ただ、まだ函館市からは具体的な内容を何もお聞きしていません。今後、市よりお話があった際は非常に大きな話でもありますので、関係者とも相談の上、対応を考えていきたいと思います」(同)
大泉市長の当選から、まだ1か月しか経っていない。当然だが、ミニ新幹線構想はまったく動いていない。それは、函館市とJR北海道の双方が慎重な物言いをしていることからも窺える。
それにも関わらず、テレビ・新聞・雑誌・WEBといったニュース媒体では、早くもミニ新幹線構想の解説などといった情報が氾濫している。それだけ函館市民がミニ新幹線に期待しているという証拠の裏返しでもあるが、少し前のめりな感じがしなくもない。
新函館北斗駅―函館駅間は約17.9キロメートルなので、GOサインが出れば数年でミニ新幹線が実現する。今後の続報を待ちたい。