こんなこともあった。猿之助が何度も再演する人気演目で、初期から出演していたメインキャストが、不可解なタイミングで途中降板するという出来事があった。
「テレビドラマでも活躍するバイプレーヤーです。猿之助さんはその俳優に興味を持ち、自分の舞台でいい役を与えた。それで猿之助さんは、プライベートでも自分の言うことを聞くだろうと思ったのでしょうが、その俳優は猿之助さんになびかなかった。降板の理由は、猿之助さんの誘いを拒否したことによる『更迭』だともっぱら言われています」(前出・澤瀉屋関係者)
「猿之助さんの態度は、相手の格によってコロコロ変わる」と話すのは、猿之助をよく知る歌舞伎評論家だ。
「弟子や裏方スタッフ、無名の俳優たちには絶対的に強気ですが、歌舞伎の御曹司たちや現代劇の有名俳優には、“優しくて陽気で無邪気な一面”しか見せなかった。本当は、人からどう見られるのかを極端に気にする繊細な人です。だから、猿之助さんを心から慕う実力派俳優は少なくなかったんです。そんな中でも、人気上昇中の俳優Xさんは猿之助さんの“お気に入りのひとり”だと界隈では知られていました」
猿之助はX氏に、自分とペアルックの洋服や小物、あるときは高価な装飾品まで買い与えたという。
「それだけXさんに、恋慕に似た気持ちを持っていたということです。猿之助さんはXさんに、自分がプロデュースする東京の大きな劇場での舞台の主演を提案し、実際に製作に動き出したところで、“一家心中”の騒動が起きたんです。猿之助さんはその共演によって、さらに関係を深めようとしていたのでしょう。しかし、Xさんはそこまで猿之助さんに“義理”もないので、すでに舞台は頓挫しているそうです」(前出・歌舞伎評論家)
倒れた猿之助が発見されたあの日、何があったかは、警察の手によっていずれ解明されるだろう。だが、歌舞伎がこれからも長く日本で、そして世界で愛されるために、まっすぐに向き合い、調査し、検証すべきことがあるのではないだろうか。
※女性セブン2023年6月22日号