石井監督が今季限りで退任しても、チームを作り直すためにはある程度の時間を要するだろう。野球評論家の古田敦也氏、前DeNA監督のアレックス・ラミレス氏、ソフトバンクの監督時代に黄金時代を築いた工藤公康氏らが次期監督の有力候補と目されるが、楽天ファンから絶大な人気を誇る人物がいる。福島県出身で、DeNAの初代監督を務めた中畑清氏だ。
中畑氏は2012年から4年間DeNAの監督を務め、6位、5位、5位、6位という成績だった。ただ、首位争いを繰り広げる現在のチームの礎を作った功績は大きい。筒香嘉智(元レンジャーズ傘下3Aラウンドロック)、梶谷隆幸(現巨人)を我慢強く起用し続け、宮崎敏郎の才能も見出した。新人の山崎康晃を守護神に抜擢するなど球界を代表する選手たちを育て、チーム力も底上げした。魅力あるチーム作りに全力を注ぎ、閑古鳥が鳴いていた横浜スタジアムのスタンドは連日満員に。楽天では星野仙一元監督が人気を集めたように、感情を露わにする熱い監督が東北のファンの心をつかむ。育成能力が高く、東北出身の中畑氏が楽天の監督に就任したら盛り上がると期待する声は少なくない。新庄監督率いる日本ハムとの対決が注目のカードになることは間違いない。
中畑氏が新監督就任の現実味はあるだろうか。前出のスポーツ紙記者は語る。
「69歳という年齢が不安視されますが、中畑さんは大丈夫です。テンションの高さ、情熱は20代から今も変わっていない。必要とされることを意気に感じるタイプなので、熱烈なオファーがあれば東北のために一肌脱ぐのではないか。問題はフロントの現場介入でしょうね。曲がったことが嫌いな人なので、フロントから起用法について指示を受けるなら引き受けないと思います。個人的には中畑さんが楽天の監督になって、チームを盛り上げる姿を見たいですけどね」
監督問題がささやかれる楽天。今後の巻き返しで雑音を封じ込めることができるか。