若かりし頃の若林さん
「短いセリフならば何とかなるかな、みっともなくなければやらせてもらっていいのかな、と思っています。今は事務所に所属していますが、31、32歳の頃から約40年間、事務所に所属せずフリーでやっていたんですよ。所属するのが面倒くさくてね。
フリーなのに、ひとつの作品をやっている最中に、別の作品の方から『豪さん、いつ終わる?』『待ってるから』と言ってもらって、次から次へとずっと切れ目なく続けてこられました。『ちょっと休ませて』というぐらい。幸せですね。私よりもっと上手で、真面目にやっている方たちがたくさんいたのに。
ずっと現役でやってこられたのは、欲を出さなかったからかなぁ。自分の柄、器以上によく見せよう、カッコよく見せよう、とは思っていませんでした。だから、自分にはできない、あまりにもかっこいい役とかはご遠慮していました。でも、やると決めたら、与えられた役を真剣にやる。なかには『ひどい本だなぁ』と思うものも正直ありましたが、1人でも2人でも誰かが観ているもの。その人のために一生懸命に。それが伝わって、今があるのかなと思います」
二枚目ながらラブシーンなどはあまり演じてこなかったように思うが、避けていたのだろうか。
「いや、そんなことはありません。ただ、キャメラをはじめスタッフがそばで見ていると恥ずかしいんですよね(笑)。十朱幸代クン、浅丘ルリ子さん……3人ぐらいを相手にやったぐらいかな」