「とにかく運が良かったんです。青年部の同期30数人のなかで私が一番下手なうえに、新国劇のウリのチャンバラが嫌で『頭が痛い』『腹が痛い』なんて言って稽古をさぼっていたのに、『背が高いのがいい』という理由で、当時177センチあった私が、緒形拳さん、大山克巳さんと共演する『同期の桜』の主役3人の1人に大抜擢されたのが飛躍のきっかけでしたから。
2、3年ほど舞台を中心に活動した後、新国劇の看板だった島田先生、辰巳柳太郎先生がベテランの域になったことや、人気の緒形拳さんが新国劇を離れたことなどタイミングが重なり、若手を前面に出そうということに。それで、たまたま私を売り出してくださったんです」
アクションから時代劇まで「振り返ると、本当に夢みたい」
2007年放送の『ランチの女王』では伝統のデミグラスソースを作る妻夫木聡の父親役を演じた(時事通信フォト)
そうして売り出された当初は『ゴールドアイ』(日本テレビ系)、『ターゲットメン』(NET、現・テレビ朝日系)、『Gメン’75』(TBS系)などの刑事ドラマで派手なアクションを披露。恵まれた容姿と熱い演技で、『Gメン’75』の立花警部役では高い人気を獲得した。
「『Gメン’75』は途中でレギュラーに加入したのですが、視聴率の高い人気ドラマだったから光栄でした。でも、自分の演技は恥ずかしくて、ドラマを見返すことはないですね(笑)。この『Gメン’75』のロケが長崎で行われたとき、上京してから初めて帰郷して、俳優になったことを両親に打ち明けました。両親はそれまで、私が出ているドラマを見て『うちの子によく似た人が出てる』と思っていたそうです。私が打ち明けると『ああ、やっぱりあんただったんだ。がんばったんだね』と言ってくれました」
一方で、NHK大河ドラマ『徳川家康』『独眼竜政宗』や、『名奉行 遠山の金さん』(テレビ朝日系)など数々の時代劇で迫真の演技を披露してきた。
