読者からアイドル的人気があり、芸能界での仕事も経験したかおり
「驚いたのは、ヤキを入れられた側のチームの少女たちが、わざわざ編集部に報告に来たこと。『雑誌に載ったことで隣町の強い有名レディースが潰しに来て、裸にされて公園を走らされたんです』って言うんだけど、どこか嬉しそうで……(笑い)。こっちは雑誌に載せたばっかりにそんな目に遭うことになって、悪かったな、と思ったんだけど。でも、おそらくですが自分たちが認められたって解釈したのかもしれない。いまならまずありえない話ですよね。そういう“暗黙の了解”が通じた時代だったことも、書いておきたかった」
《喧嘩は数え切らないくらい、タイマンは100回以上やってる。負けたことはないね。自然と勝ち方を身につけた。まず相手の眉間とみぞおちを狙いますね。負けた相手は裸にしてその辺を走らせますよ、そんなの何度もありますね》
《これは後悔してるんだけど、左の肩に刺青が入ってるの。18の時勢いで入れちゃったわけ。筋彫りだけで色は入ってないんだけど、バラが入ってる。足の傷と一緒に。このバラも消そうと思ってる。だって親にもらった大事な体じゃないですか。この前親と一緒にグルメ旅行とかいって北海道行ったんだけど、みんなとも温泉はいらなかったし》
《もう少しで卒業式、卒業式の日は派手にやってやるからな、先公見てやがれ》
《鑑別所出た後、試験観察で何日間か老人ホームで働いたの。老人のニコってする顔見たらレディースの次に賭けるものはこれだって決めたの》
本書にはこんな風に実際に『ティーンズロード』誌面に掲載されていた当時のレディース少女たちの生の言葉もちりばめられており、その生々しくもビビッドなエネルギーに心惹かれる著名人が多数。
「この著者でしか語り得ない当時の日々と、登場する少女たちが非常に魅力的。無視できない熱量を感じた」と絶賛した小説家の辻村深月氏や、「一時代の一瞬の熱狂の生き証人。比嘉さんが書き残したことでレディースの女たちが令和の今に生き生きと蘇ってきた」とコメントを寄せたラランド・ニシダ氏など、各界から感動の声が寄せられている。
◆比嘉健二(ひが・けんじ)/1956年、東京都足立区出身。1982年にミリオン出版に入社。『SMスピリッツ』などの編集を経て、『ティーンズロード』『GON!』などを立ち上げる。現在は編集プロダクション『V1パブリッシング』代表。本作で第29回小学館ノンフィクション大賞受賞。
専門誌『ティーンズロード』を立ち上げた初代編集長・比嘉健二氏