「お母さんだってお酒を楽しみたいって気持ちはわかりますけど、赤ちゃん連れはちょっとね。小学生とか連れてくる親もいますけど、狭い飲み屋ですから無理ですね」
しかしそれを許す飲み屋もあるという。
「常連なら構わない、深夜でも店のソファーに寝かせたり、ゲームで遊ばせてる横で飲んでる親、なんてのも他の店にはいます。ええ、この商店街の店です。親しいからそれとなく言いますけど、店主も常連さんには強く言えないみたいですね」
その「深夜」が22時、23時であるなら、その「他の店」は違反ではないか。
「違反ですよ。でも親がいれば警察は注意くらいでしょうね。まして店内ならわかりません。だってほら、外国人の観光客の方とか、小さなお子さんと深夜に繁華街にいるでしょう。あれだって本当はだめでしょうし」
確かに都心の繁華街、歌舞伎町すら深夜に子ども連れがいて驚くが、たいていは外国人観光客だったりする。先の「正当な理由」および「特別の事情」ということか。単に「おめこぼし」というだけか。
「教育方針だとしてもよくないと思います。私だってもっとめちゃくちゃな時代があったことは知ってますし、親が深夜まで店で酒を飲んでる間、店の外で街灯を頼りにチョークで道にお絵かきしてる子とかいましたよ。店内で宿題してるとか、でも昭和の話です」
それが「教育方針」だとしても、やはり条例違反となる可能性はある。そして、親がいれば問題ないと勘違いしている人はいる。
実際、夜の店で働く女性にこの件を聞いてみた。「私はしてませんが」という前提の話。
「家に残しておくくらいなら一緒に食事、という感覚で飲み屋に行っちゃうママもいます。シンママ(シングルマザー)でシッターを雇うお金がないとか、託児所に預けられないとか、そういう夜の仕事のママはいますね。だから法律を破ってもいいとは思いませんけど」