治療開始後、数年以上経っても重症のめまいで日常生活に支障があり、聴力が改善しないような中期から後期のメニエール病では、「手術」による治療も選択肢となるが、やはり慎重な判断が求められる。
「内耳にリンパ水腫として溜まったリンパ液を、手術で排泄路を設けて減らすのですが、術後、その排泄路が詰まってリンパ液が溜まるリスクがあります。大学病院などでは研究の意味もあってメニエール病の手術が行なわれますが、再発の可能性があることから、実施には慎重な判断が求められます」(同前)
さらに、めまいには「脳出血」や「脳梗塞」「脳腫瘍」などが原因の場合がある。自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニックの笠井創院長が言う。
「めまいの原因は極めて多様であり、すぐに生命にかかわるような『危険なめまい』があります。フワフワ浮いた感じをめまいと捉えない人も多い。
めまいのほかに頭痛、手足のしびれ、呂律が回らない、意識がなくなる、目がかすむというような症状がある時は、めまい自体は軽くても脳梗塞や脳出血などによる『危険なめまい』のことがあるので、少しでも『おかしい』と感じたら、すぐに専門医の診察を受ける必要があります」
湿気と暑さで朦朧とすることが増える季節だが、めまいには重大な病気が隠れている場合があることを肝に銘じたい。
※週刊ポスト2023年8月18・25日号