取材中、小島から著者に宛てられた手紙の数々。インベ氏は、宛名や差出人の書き方にも、強迫観念的なものを感じたという。(写真は著者提供)
検察「実行した後、被害者の気持ちや遺族の気持ちは考えましたか?」
小島「前の被告人質問で『Z夫さんが苦しそうな表情をしているのを見た』と申しましたが、それでもやり続けました」
検察「残された人のことは考えましたか?」
小島「他人を愛したこともありますから、ものすごく悲しい、辛い、どうにかなりそう、普通に想像できます」
検察「だから止めようとは?」
小島「刑務所に一生入っていることのほうが優先されるべきと思ったんです」
検察「被害者やご家族に謝罪していませんね。謝罪の気持ちは一切ない?」
小島「無期刑になりたいので一切ないし、無期刑になっても一切ない。なぜなら無期刑には仮釈放があるから、謝罪すると仮釈放されてしまうからです」
検察「Z夫さん遺族の調書を聞いてどう思いました?」
小島「はあ~。そうですね。家族、友人のことを出せば対照になっていいなと思いました。そのほうが無期刑になると思って。遺族にZ夫さんを愛する気持ちがあり、悲しい、憎い、そういうのがある。私にも家族や友人がおり、同じ立場になったら、遺族と同じ気持ちになるでしょうし、家族や友人を失っていない私と対照にしてみると、無期刑になりやすいんじゃないかなと考えました」
検察「今の話ですと、あなたが被害者になると悲しんでくれる家族がいるということですか?」
小島「います」
検察「誰ですか?」
小島「黙秘します」
検察「裁判で出てきているのは、おばあさんや両親ですよね。死刑になったら悲しむと考えたことはありますか?」
小島「もしかしたら、そう思うかもしれませんね」
検察「事件を起こすとき、祖母や両親がどう思うか考えましたか?」
小島「考えました。自分の人生を振り返り、恥じるだろうと思いました。父の調書の最後の二ページは、子育てに対する懺悔が詰まっていて、グッとくるようなものでしたね」