国内

《新幹線無差別殺傷事件のその後》法廷で万歳三唱の謝罪なき殺人犯「無期懲役叶わなければまたなにがしかの殺人を」

走行中の東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で乗客3人が切り付けられる事件が発生し、多数の警察車両が止まるJR小田原駅(時事通信フォト)

走行中の東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で乗客3人が切り付けられる事件が発生し、多数の警察車両が止まるJR小田原駅(時事通信フォト)

 2018年6月9日、走行中の新幹線車内で発生した無差別殺傷事件(概要は前編参照)。見ず知らずの男性1人を殺害、女性2人に重症を負わせた犯人、小島一朗とはいったいどのような人間なのか。

 事件の翌年、2019年11月28日から公判がはじまると、常人では理解し難い小島の言動、人間性があきらかになっていった。そして、同年12月18日、横浜地方裁判所小田原支部は、被告人・小島一朗に無期懲役を言い渡す。

「バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!」──判決を聞いた小島は、万歳三唱した。皮肉にも、「刑務所に入りたい」「無期懲役になりたい」という凶悪殺人犯の願いを丸々叶える形で、裁判は終結したのだ。刑務所という「安寧なわが家」を手に入れるため、小島は緻密な計算を働かせていた。それは、第四回公判で放った信じ難い台詞にも表れている。

 写真家・インベカヲリ★氏によるルポルタージュ『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』(KADOKAWA)では、往復書簡や面会、裁判の傍聴取材などを通し、小島の生い立ちや思考を詳らかにしている。その一部を抜粋し、紹介する。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
「命が惜しくてたまりません」

 死亡したZ夫さんの母親と妻の供述調書を受けて、第四回公判では、再び検察側の被告人質問が行われた。そこでは小島の身勝手な言い分が滔々と語られることになった。

検察「先日の話では、『三人以上殺すと死刑になるから、二人か、一人プラス一人に重傷を負わせないといけない』と話していましたね。死刑は避けたかったのですか?」

小島「そうです。刑務所ではなく拘置所で過ごすことになるから」

検察「死にたくない?」

小島「その気持ちも、もちろんございます」

検察「命を惜しく思ってる?」

小島「はい。命が惜しくてたまりません」

検察「命の大切さがわかっているなら、他人の命についてはどう思うんですか?」

小島「想像することはできますが、自分の欲求を満たすことを優先しました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン