国内

バッドボーイズ佐田正樹が「不良雑誌」を読んでいた頃「土埃のにおいと爆音に包まれると、自分たちだけの世界に入れた」

『ディーンズロード』を彩り、社会現象にもなった「特攻服少女」の生き様が改めて注目されている

『ディーンズロード』を彩り、社会現象にもなった「特攻服少女」の生き様が改めて注目されている

 レディース専門誌『ティーンズロード』を通して、レディース少女と雑誌編集者の30年前の青春の日々を描いた『特攻服少女と1825日』。同書は第29回小学館ノンフィクション大賞受賞作。バッドボーイズ・佐田正樹は同書を読み、何を感じたのか。

 * * *
『ティーンズロード』、懐かしいですね。高校時代、九州で暴走族の総長をやっていた頃、『チャンプロード』『ヤングオート』と合わせて、“三大不良雑誌”でした。かわいい子が載ってないかなって、よくチェックしてましたね(笑い)。

 印象的だったのは表紙を何度も飾っていた人気レディース『紫優嬢』総長の中村すえこさん。前髪が工藤静香みたいで、紫の特攻服にサラシを巻いて、赤い口紅で……インパクトがありましたね。だけどそれ以上に驚いたのは、彼女がその後、少年院出院者の社会復帰を支える活動を始めたこと。実はぼくも少年院の慰問をしているから、その関係で一緒に仕事をしたことがあります。本書に出てくる元レディースの橘ジュンさんも孤立した少女を支援するNPOの代表ですよね。

 やっぱり悪さをするには理由があるんですよ。家庭の事情とかでみんなが当たり前に知っているような常識を知らなかったり、善悪の基準を教えてくれる大人が周囲にいなかったりする。そんな若者の選択肢を広げてあげたいというのが、慰問を始めたきっかけになっています。

 不良って、よくはないんでしょうけど、ある種の筋は通ってるんです。仲間を裏切るようなことはしないし、縦社会なので礼儀にもうるさい。理不尽なこともたくさんあったし、けんかや抗争で痛い思いもたくさんしたけれど、だからこそ忍耐力が身についたし、“引き際”も知ることができた。

 子供の教育でもよく言われますが、火の熱さは実際に触ってみないとわからない。それと同じで、リアルな経験がない故に痛みを理解できずに相手を追い込んでしまう人が増えているように思います。そうした危うさにみんな薄々気がついているから、この本が広く読まれているんじゃないかな。

 だから、褒められたことじゃないだろうけれど、暴走族だったことを後悔してないんです。土埃のにおいと爆音に包まれると、自分たちだけの世界に入れた。そこがとても居心地がよかったことを、本書を読んで改めて思い出しました。誰が何と言おうと、最高の居場所でした。

【プロフィール】
佐田正樹(さた・まさき)さん/1978年福岡県生まれ。お笑いコンビ「バッドボーイズ」のツッコミ担当。吉本興業所属。高校時代は地元で暴走族の総長。自伝的小説『デメキン』は映画化もされ、ベストセラーに。

『特攻服少女と1825日』(小学館)
居場所を求めてさまよっていたレディース総長たちと「活字のマブダチ」との青春の日々と、彼女たちのいまをつづったノンフィクション。

※女性セブン2023年8月31日号

関連記事

トピックス

シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン