ライフ

信頼の美容医療へ、専門家による症例報告の国際ガイドライン公開

美容医療の症例報告(写真はイメージ。イメージマート)

美容医療の症例報告(写真はイメージ。イメージマート)

 美容医療に関わる専門家の間で重要な情報を交換するための国際的なガイドラインが公開された。報告すべき重要な情報の基準をはっきりさせる動きで、これは美容医療をより良くすることにつながりそうだ。

美容医療の報告、スタンダードを示す

 今回のガイドラインの解説によると、美容医療の領域では、珍しい症例、革新的な治療法、予期せぬ事態など、医療関係者の間で詳しい情報が迅速に共有されることは重要だという。しかし、そのような症例報告をするときに、どのような基準に従って情報を盛り込めば良いかという具体的な基準がなかった。

 この課題に対応するため、研究者や専門家が協力して、「Case REporting in Aesthetic Medicine(CREAM)」と題するガイドラインを作成し、2023年8月18日に、美容外科専門Aesthetic Surgery Journal Open Forumで公開した。

症例報告の基準をチェックリストに

 この新しいガイドラインの特徴は、さまざまな分野を代表する専門家が参加した合意形成のプロセスを経てまとめられたことである。これらの専門家には、形成外科や皮膚科のような美容医療との関連が深い専門家に限らず、美容医療以外の専門家も含まれた。

 ガイドラインのもう一つの特徴はチェックリストを導入していることだ。このチェックリストには、症例を報告する際に取り入れるべき重要な要素がまとめられている。施術を受ける人の情報、手技の詳細、有効性や安全性の観点からの結果、倫理的な配慮などの項目が挙げられている。

 今回公開された国際ガイドラインが日本ですぐに採用されるとは限らないが、日本においても医療関係者の間の情報共有が重要であることには変わりない。また、ガイドラインが美容医療を受ける一般の人たちにとって直接影響を与えるわけではないが、日本の医療関係者の間で透明性のある情報交換の文化が広がることは、美容医療を受ける人たちの経験を間接的に向上させることにつながる。

 そのような視点から見ると、今回のガイドラインは美容医療をより良くするために見逃せない動きの一つであり、今後の展開も期待されるものと言える。

参考文献
Eqram Rahman, MBBS, MS, MMEd, PhD and others, Developing Consensus-Based Guidelines for Case Reporting in Aesthetic Medicine (CREAM): Enhancing Transparency and Standardization, Aesthetic Surgery Journal Open Forum, 2023;, ojad076, https://doi.org/10.1093/asjof/ojad076

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン