超選択的動注化学療法における上顎洞がんのMRI画像
治療期間は7週間で、35回の放射線照射と週1回、合計7回の超選択的動注化学療法を実施する。これまで点滴によるシスプラチン投与は全身に作用するため3週間に1回だったが、中和剤の同時使用により、毎週の超選択的動注化学療法が可能になっている。
「この治療には高度なカテーテル技術が必要です。また手間もかかることが普及への妨げになっていました。そこで多施設共同臨床試験を行ない、治療効果を検証したところ、手術と同等の効果があると判明し、この結果を受け、普及にも弾みがつくのではと期待しています」(本間教授)
現在、上顎洞がんの他に、超選択的動注化学療法と放射線治療の併用で、喉頭がんでは声帯を取らずに済む研究や舌がんにおいては舌を切除しない治療も始まっている。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年9月15・22日号
本間明宏/北海道大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授