ジャニーズ事務所組織図
「法の枠を超えた補償」をすると、賠償総額はどれほどの規模になるのか。
まず被害者一人当たりの賠償額について、上谷氏はこう話す。
「あくまでケースバイケースですが、2017年の法改正により、口腔性交や肛門性交も不同意性交(旧強制性交)になったので、こうした性被害の民事裁判での賠償額は300万円程度が一定の水準となります。裁判ではなく、ジャニーズによる救済措置制度で、被害者に支払額を提示するのであれば、判例の水準より高く設定されるかもしれません」
問題なのは、調査報告書では口腔性交や肛門性交に限らず、様々な被害が報告されていることだ。
「それらの性交と、一緒に入浴、同衾、身体愛撫などでは、法律上は被害のレベルが違います。本来であれば、その被害実態に合わせた賠償を行なうことになるのですが、誰がどういう被害を、何度受けたかの認定は困難ですし、相当な時間がかかってしまいます。回数の多さだけで、賠償額が大きくなるというものでもありません。そうすると、被害者救済の観点から、被害内容にかかわらず賠償額は一律にするという判断もありえるのではないでしょうか」(同前)
では、被害者の総数はどれほどになるのか。ある芸能関係者は「被害に遭ってもまだ黙っている人が多いと言われている。被害者は最大で1000人ほどになるとみられている」と言う。賠償総額を最大限に見積もると、被害者1000人に一律300万円の支払いで30億円となる。
ジャニーズ事務所に「法の枠を超えた補償」がどう行なわれるのか聞くと、「検討・調整中ですが、事実確認に時間をかけることなく、速やかに救済補償していければと考えております」と回答した。
※週刊ポスト2023年9月29日号