6月4日のロッテ戦、佐々木朗希から唯一のヒットを放った大山悠輔
佐々木朗希と対戦した際に「見逃し三振OK」
「もちろん、見逃し三振が良いわけではありません。岡田監督も見逃し三振を推奨しているわけではないですし、明らかなストライクを見送っての三振は当然嫌います。ただ、交流戦でロッテの佐々木朗希と対戦した時には『今日は見逃し三振OK』と指示を出した。フォークを無理に振りに行かないことで、四球を奪えると判断したからです。
その試合は佐々木から6回までに5四死球を奪い、2対0で勝ちました。この日、阪神は佐々木に対して1安打に抑え込まれましたが、今年を象徴するようなフォアボールを起点にして勝利をもぎ取った試合でした。佐々木は今季14試合に先発し、11試合を1四死球以下に抑えており、コントロールの良いピッチャーです。5四死球は今季最多でした。岡田監督の采配で勝ったと言っていい」
中日は2011年、リーグ最下位の打率2割2分8厘、得点419ながら優勝を果たしている。その年は、四球423で2位(ヤクルトが430で1位)。打てないなりにフォアボールからチャンスを作って行った。
「その前年も中日はチーム打率、得点がリーグ5位ながら、四球数は456と1位で、優勝しています。落合博満監督が『見逃し三振になってもいいから、低めのボール球は振るな』と指示を出していたため、フォアボールが増えていた。四球から崩れる投手は多いので、同じ得点でも相手に与えるダメージは大きい。立浪監督も岡田監督や落合監督のように、条件付きで見逃し三振を容認すれば、チームの得点力は増えたはずです。それくらい監督の言葉は選手に影響を与えます」
今季の四球数を見ると、セ・リーグのベスト6に阪神から4選手が入っている。1位は大山悠輔の88、3位タイが近本光司の64、5位が中野拓夢の53、6位が佐藤輝明の52となっている。中日からは細川成也が44で8位に入っているが、次は岡林勇希の34で17位になる。4番に座る石川昂弥は406打席で20四球しかない。
打率や本塁打数に大差はないにもかかわらず、阪神は優勝を決め、中日は最下位に低迷している。監督の見逃し三振に対する考え方1つで、チームは大きく変わるようだ。