9月7日にジャニーズ事務所は、ジャニー喜多川氏による性加害問題の記者会見を開催。そして9月13日には「被害補償及び再発防止策」について発表した。今後、金銭的な賠償について具体的な話し合いが進められていくとみられるが、その額は最大見積もると「30億円」ともされる。
ジャニーズには、この莫大な額を支払えるだけの原資はあるのか。ジャニーズ事務所の資産について、芸能関係者はこう話す。
「都内の一等地に、少なくとも8つのビルと劇場を保有し、不動産資産、預貯金、有価証券等を合わせると、合計で3000億円にものぼるとされる。また、ジャニー氏と姉・メリー喜多川氏が50%ずつ保有していたジャニーズの株式を、2人が亡くなった今、メリー氏の娘である藤島ジュリー景子氏が100%相続している」
会見では、ジュリー氏が100%株主であり続けることや、社長を辞任したものの代表取締役には留まることについて批判が殺到したが、そうした反応は事前に予想されていたはず。それでも変えなかった理由について公認会計士の川口宏之氏は、こう推測する。
「あくまで一般論ですが、賠償金が多額になることを考えると、取締役会の決議事項になると思います。が、金額が高ければ高いほど株主利益を毀損することになる。なので、誰かに株を譲渡してしまうと、スムーズに自己資金から賠償金を支出することが難しくなってしまう。また、時価総額が巨額、かつ性加害問題が明るみに出たため、株式の譲渡先は容易に見つからない。だから『法を超えた補償』をし、創業家としての責任を果たすためにもジュリー氏が100%株主で、代表取締役であり続ける必要があったのだと思います」
現在はアサヒ、JALなど大手企業が所属タレントによるCMの取り止めなどを公表している。
「テレビ界はまだ様子見ですが、今後の動き次第では、ジャニーズタレントの起用を見送るケースも出てくるかもしれません」(前出・芸能関係者)
そうなるとジャニーズ事務所本体の収益は大幅減となりそうだ。しかし、「だからこそジャニーズ事務所という社名を変更できなかったのではないか」と言うのは、『異能の男 ジャニー喜多川』(徳間書店)などの著書がある作家の小菅宏氏だ。
「ジャニーズはファンクラブの年会費だけで約520億円に達し、CDやコンサートグッズの販売による利益も莫大。タレントたちの活動が苦境に立たされている今、ファン離れを防ぎ、これらの収益を維持するために、ジャニー氏の名前を残すことへの批判を受けてでも社名を変更するわけにはいかなかったのでは」