ライフ

大本営地下壕、東京裁判、三島由紀夫事件“大人の社会科自由見学”を体験したオバ記者「見る前と後の私は別の人」

(写真/GettyImages)

「防衛省見学ツアー」に参加した“オバ記者”が思ったこと(写真/GettyImages)

 防衛省見学ツアーに参加した『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子。地下壕や東京裁判の法廷など“兵どもが夢の跡”を見て思ったこととは──。

 * * *
「何にでも食いつくダボハゼ女」と陰口を叩かれたことがある。夢も希望もウエストもあった20代初めの頃で、早い話、男と見れば見境いなく飛びつくという悪口よね。そのときは「ひどいっ」と怒ったけれど、やっていることはキャッチ&リリース。66才のいままでずっと独身ということは、私は“ツガイ”に向かなかったんだよね。

 しかし「ダボハゼ」とはよくも言ったな、と最近思うんだわ。つい先日、「防衛省見学ツアー」に参加したんだけど、朝霞駐屯地(東京都練馬区)まで「自衛隊体操」を習いに行ったこともあるし、富士山の麓に「富士総合火力演習」を見に行ったことも2度ある。目の前でヘリが飛び、実弾が目標地点に撃ち込まれ、隊員がヘリから降りる演習はそりゃあもうすごい迫力よ。

 こういうイベントに参加していると何かの拍子に言うと、「ふ〜ん。オバってそっち側の人なんだ」と冷めた目で見られたりするんだけどね。「そっち」ってどっち? 自衛隊と聞いただけでソッポを向く人が「あっち」だとしたら、確かに私は「そっち」か。

 チャンスがあれば何を差し置いても自衛隊の行事を見たいという食いつきのよさはダボハゼ性分のせい? それとも、世が世であれば“国防婦人”になりたかったの? いやいや、そんなたいそうなことじゃないね。ただ面白いからよ。自衛隊や国会議事堂、刑務所など国家機関の施設を見ると、必ず心に刺さることに出くわすんだもの。

 先日の防衛省見学ツアーもそう。実はこれ、わが地元・茨城県笠間市の自衛隊家族会の見学ツアーの一環で、私はそのお世話係として参加したわけ。衆議院会館の議員事務所でアルバイトをしていると、国会案内とか憲政記念館までの引率とかいろいろな仕事があるんだけど、防衛省は初めてだ。

 市ヶ谷の防衛省に着いて真っ先に案内されたのが、この7月から一般公開されるまで歴史の底に眠っていた「大本営地下壕」なの。

「そうか。日本一の防空壕ってことだね」「防空壕って入ったことあるの?」「再来年は戦後80年だねぇ」なんて小声で言い合いながら説明を聞く。そして、白いヘルメットをかぶって、いよいよ入場。

 地下壕の中は小型のトンネルといった感じだけど、染み出た地下水で床は水浸しだし、薄暗くて、なんかもぅ居るだけで歴史の圧を感じるんだわ。

 開戦した1941(昭和16)年に掘られ始めたというから、きっと手掘りだよね。それをコンクリートで固めていくのは、気の遠くなるような作業よ。それで戦争が始まると、大本営陸軍部・陸軍省・参謀本部がこの地下に置かれたというんだけど、切ないのが炊事場よ。どんなに緊迫した場面でも、人はお腹が空く。だけど地下壕では火が使えないから、外から送ってきたお湯の蒸気で温めたものを食べたのだとか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン