監督交代で優勝の可能性があるのか?
動向が注目されるのが3年連続のV逸となった巨人の原辰徳監督だ。まだCS進出の可能性が残っているとはいえ、2年連続でBクラスとなりそうな気配だ。2リーグ制以降、38回のリーグ優勝、22回の日本一という巨人の歴史のなかで、2年連続Bクラスは過去に1度(2005年5位=堀内恒夫監督、2006年4位=原辰徳監督)しかない。同じ指揮官での2年連続は初めてのことだ。巨人OBが語る。
「一昨年のオフに3年契約が更新されたが、昨年は原政権下で初めてCSを逃した。オフに山口寿一オーナーは若手育成を求めて続投させたが、今年も世代交代は期待されたほど進んでいない。3年連続V逸の責任も加味すれば契約を1年残して解任という可能性もありますが、現実的には原監督が辞表を提出しない限りは続投になるとみられています」
阪神や広島をはじめ4球団はわかるが、2年連続最下位の中日、球団史上初の同一監督による2年連続Bクラスの巨人がともに来季まで契約を全うするのだという。何が起きているのか。在京球団の編成担当者はこう話す。
「原監督は常勝球団としてどこまで高いハードルを求めるかで評価が分かれるかもしれないが、中日の立浪監督は本来ならアウトだと思う。ただ、以前は巨人や中日でも3年契約の2年目で監督が退任するようなケースがあったが、昨今は資金面の問題もあってそう簡単には踏み切れないでしょう。球団の都合で契約期間中に解任した場合、来年の年俸を補償しないといけない。年俸は原監督が2億円、立浪監督が1億円といわれていますが、コストはそれだけではない。
仮に立浪監督をクビにすれば次の監督が新たに組閣するわけです。同い年の片岡篤史や落合英二をはじめ、中村紀洋、西山秀二といった立浪監督が連れてきたコーチも入れ替えていくとなると、契約内容次第ではその補償まで必要になりかねない。監督交代で優勝の可能性があるなら大金を投じて交代させる価値はあるが、特に中日は今の戦力では誰が監督になっても優勝は難しいでしょうからね」
現行の仕組みだとリーグ3位以下ならCSに進出しても収益にはつながらない(3位はCSの本拠地開催の試合がない)。
「監督を代えても2位以上に入れそうにないなら、契約期間中は続投させる方向に流れやすい。そういう構造があるのです。奇しくも巨人も中日も親会社は新聞社で、本業の先行きは不透明。不動産事業に頼って収益を上げている状態です。選手の年俸は上がる一方のなか、無駄な出費がないように努力するのは当然のことでもあるでしょう。阪神のように前監督が開幕前にあと1年で辞めると公言し、次の監督が優勝して観客動員やグッズ販売で貢献してくれるといったストーリーは、なかなかないものですよ」(同前)
賛否あるなかで続投が決まった原監督や立浪監督は3年目となる来季に結果を出すことはできるのだろうか。