現在は夫とふたり、子育てに邁進する日々
手術から3年後の2019年に再発して治療が始まったが、翌年に乳がん治療を一時中断し、不妊治療を再開することを決断する。
「医師から『治療を中断すればがんの再発率が40%ぐらい上がる』と言われたけれど、乳がんになる前の不妊治療で、1つだけ凍結した受精卵の凍結卵子をクリニックに残していました。年齢的にも45才で、後悔したくないし、可能性がゼロじゃないなら前に進みたいと思った。夫は『子供がいなくてもいい。ふたりで幸せに生きよう』と反対したけれど、私は死んでもいいから、あの子を迎えに行きたいと思った。どうしても諦められなかったんです。
最終的には夫が折れて、『きみがそう言うのなら全力で応援する』と言ってくれました。女性ホルモンの分泌量が増える貼り薬を毎日お腹に貼ってもらったり、ふたりで『子供を迎えに行く』という1つの目標を追いかけていたあの日々は、楽しくて幸せなものでした」
昨年、無事に男の子を授かり、いまは子育てに奮闘している。
「生まれたときは、やっと会えたという気持ちでいっぱいでした。治療を中断しての出産にリスクがあるのは事実ですし、出産後に再開した治療はあと6年続く予定です。でも子供を授かることは私の人生でとても大切なことだったし、乳がんになっても妊娠は不可能ではないということを、同じがんの患者さんに伝えたい」
※女性セブン2023年10月5日号