岸田文雄・首相と閣僚たち。大臣には女性を最多タイとなる5人起用(時事通信フォト)
岸田派内にも隙間風
記者C:注意すべきは足元の岸田派ではないでしょうか。岸田総理は昨年末に「死刑のハンコを押す役目」発言で批判を浴びた葉梨康弘・元法相や政治資金問題の寺田稔・元総務相に詰め腹を切らせながら、同じ岸田派でも側近の木原誠二・前官房副長官はスキャンダルで政権の足を引っぱったのに党役員(幹事長代理兼政調会長特別補佐)に抜擢した。派内からは「なんだあの人事は」という声が聞かれます。派内にも隙間風が吹いている。
司会:改造は失敗。岸田首相はこんな状況で解散・総選挙を打てるのか。
記者D:小渕氏を選対委員長に起用した段階で、総選挙は無理でしょう。
記者C:解散・総選挙をやるつもりなら、女性大臣5人だけではなく、国民の人気がある石破氏や小泉進次郎氏らを無理にでも大臣にしたのではないでしょうか。総理は茂木幹事長から「総裁選には出ない」という言質を取り、安倍派5人衆を同じポストに留任・再任させたことで最大派閥の支持も取り付けた。ライバルになりそうな河野、高市(早苗)両大臣も再任して出馬できないように閣内に封じ込めた。
改造前は解散を視野に入れていたでしょうが、これで解散総選挙で勝負しなくても、来年の総裁選の無投票再選に道筋をつけたと判断していると思います。
記者B:いや、岸田さんは解散をあきらめていない。10月中旬に旧統一教会への解散命令を申し立て、10月下旬に経済対策をまとめる。そこでチャンスありとみれば、迷わず解散に踏み切るのではないか。
記者A:11月はじめの解散だろう。総選挙を打てば、岸田派の盛山正仁・文科相(近畿ブロック比例)など選挙に弱い大臣の何人かが落選する可能性があるが、解散できなければジリジリ退陣へと追い詰められていくのは見えている。勝負に出るしかないことは総理もわかっているはずだ。
岸田首相が解散・総選挙に踏み切るかどうかについては、若手記者2人は「ない」、ベテラン記者2人は「ある」と見方が割れた。
果たして内閣改造に失敗した首相は形勢挽回のための一か八かの解散・総選挙を決断できるのか。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2023年10月6・13日号