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草なぎ剛が小泉今日子に確かめたかった17年前のTシャツ

邦画史上類をみないロングラン上映中の『ミッドナイトスワン』で、3年もたっての舞台挨拶に登壇した草なぎ剛。

邦画史上類をみないロングラン上映中の『ミッドナイトスワン』で、3年もたっての舞台挨拶に登壇した草なぎ剛。

 草なぎ剛が2021年日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞を授賞した映画『ミッドナイトスワン』が公開から4年目を迎え、現在も上映され続ける超ロングランとなっている。

 4年目となった9月25日、上演後の舞台挨拶に現れた草なぎは、「3年も経ってからの舞台挨拶は、人生でも稀なこと。今日は記念日なので、みなさんにも絶対にいいことがあると思います」と喜びを語った。

「#追いスワン」で発信をお願い

 会場に集まった観客にたずねると、10回以上観た人が全体の半数、5回以上は8割ほどと、熱心なファンが大勢いることが伺えた。一方で「この日初めて観た」という観客も10数名、手を挙げた。草なぎは「僕のファンのかたって感じですけど初めてなんですね」ととぼけて見せ「僕は2回くらい観たかな。DVDを持っているのでたまに流しています」とフォローした。

 作品が大きく評価されていることについては「僕もそれなりには頑張ったんですけど、他のかたの影響が大きくて。一果ちゃん(服部樹咲)や監督、まわりのかたがすごく考えてくださり、支えてくださいました。『新しい地図』を広げて間もなくのころの映画で、みんなが盛り上げてくれたおかげで僕も演じきれた。僕だけこうやってここに立っておいしい思いしちゃって、ちょっと申し訳ないという気持ちがある。でもみんなの代表として、このうれしさを今日は噛みしめたいと思う」と周囲を気遣った。

『ミッドナイトスワン』は現在も上映中(TOHOシネマズ日比谷にて毎週水曜)。12月27日までの来場客には特製のオリジナルポストカードのプレゼントも(デザインは毎月変更)。

『ミッドナイトスワン』は現在も上映中(TOHOシネマズ日比谷にて毎週水曜)。12月27日までの来場客には特製のオリジナルポストカードのプレゼントも(デザインは毎月変更)。

『ミッドナイトスワン』は、トランスジェンダー女性の凪沙(草なぎ)と、虐待を受けて育った一果(服部樹咲)が、家族として互いを深く求め合うようになる物語だ。耐えがたい孤独を抱えた2人が、ぶつかりながらも関わり合っていく姿には胸を打たれる。トランスジェンダーを演じる草なぎは、小さな仕草にさえどこか寂しげな様子を漂わせ、強く惹きつけるものがある。

 NPO法人虹色ダイバーシティの調査によると、LGBTQは子どものころから生きづらさを抱えており「男女」のふたつに分けて教育を行う学校へは通いづらいという。学校へ通えないことで学歴が低いとされ、職業の選択が狭まる。社会に出て就職できても、職場での不理解のために仕事を続けることも難しいことが多い。そのため貧困に陥りやすいといわれる。

 映画でも、凪沙が一般企業での就労が困難で金銭に苦労することが描かれており、現代の社会的な問題点を物語に真摯に取り込んでいる。

 LGBTQという言葉はかなり浸透してきたが、トイレや更衣室使用についても問題になっているように、差別や不理解はまだまだ激しい。凪沙は実家で罵倒され、「化け物」などと叫ばれている。生きる上で、自分を受け入れてくれる人がいること、自分の居場所があることはとても大切だ。当事者ではない人たちの理解と受け入れが少しずつでも広がるように、その入口としてこの映画はひとつのきっかけになるかもしれない。

 草なぎは「3年前の舞台挨拶で、ハッシュタグ『草なぎ剛代表作』なんて見切り発車で言ってみたんですよ。そうしたら本当になった。言霊というか、言ってみるものですね」として、今回は「#追いスワン」をつけて発信してほしいと付け加えた。

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