目を覚ました女性が男性に「触りましたよね…」と言う
シナリオは作っていない
ただ、「世間の反応を見るため」という意図がすべてというわけでもなさそうだ。三野龍一氏はこう続ける。
「この作品は実際の事件を題材にしたわけではありません。シナリオも作りませんでした。現場に入って、役者の皆さんと話をしながら、状況や動きを決めていきました。だからこそ視聴者は自分の頭の中にある『痴漢冤罪らしさ』とこの作品を照らし合わせて、『リアルだ』と感じてくれたのかもしれません」
動画の中では、近くにいただけで状況をよく把握していない人間が介入することで、事態はどんどん悪化していく。三野龍一氏は、その様子が、「今の状況に似ている」と語る。
「この動画を巡っては騒ぎが騒ぎを呼んでいる印象があります。それは、動画の中で表現した電車内の状況とそっくりに感じられます。とはいえ、作品の性質上、こうした事態は予想できていたので、主演の女優さんには、『フィクションとノンフィクションの区別がつかない人から悪者扱いされる可能性もあるかもしれない』と事前に説明はしました」
拡散され続ける動画『痴漢冤罪』を見て、人は何を感じるのかを制作者側がコントロールすることはできない。しかし、これをきっかけに痴漢や冤罪について考える機会を得た人は多いだろう。
今回紹介した「痴漢冤罪」の動画はこちら