「テレワークの導入により、電通も富士通も出社率が2割ほどになったそうです。自分だってほぼ出社していませんし、汐留に人が戻る日は来るのか……。職場の近くで飲むとなっても、今の汐留は寂しい。新橋のほうがお店の選択肢も多く、賑やかで魅力的に感じます」(前出・30代会社員)
高層階に位置するレストランの店員も「コロナ禍で一気にテナントが減ってしまった」と語った。
汐留はなぜ今のような状況になってしまったのか。都市政策の第一人者である明治大学名誉教授の市川宏雄氏は、「米サンフランシスコと同じ流れをたどっている」と分析する。
「テック企業の多いサンフランシスコでは、コロナ禍になってからリモートワークによりオフィス空室率が高まっています。日本を代表するテック企業である富士通が東京から本社を引き払ったのは、サンフランシスコと同じ動きが起きていると言えましょう」(市川氏、以下同)
街としての魅力が弱い、という。
「汐留の都市開発は、目先の利益を優先して高層ビルを建てるばかりで、“魅力的なまちづくり”という思想が欠けていました。都市開発においては、遊んで楽しく、食べて楽しく、働くのにも便利というワンセットで価値を作る必要があります。
ビジネス以外で汐留に出かけたくなるような魅力を提供しきれていません」
汐留再生の一手はあるのか。そう市川氏に質問すると、実に大胆なアイデアが返ってきた。