高い日本のタクシー、中国人が運転する安い“白タク”
中国では“日本のタクシーは高い”と認識されている。中国のSNSをみると「1kmほど移動するのに、中国なら200円くらいで済むが、東京だと600円もする」との声もあった。
中国人は合理的な考え方を好む国民性だといわれる。そんな彼らが利用するのが、在日中国人が運転する“白タク(営業に必要な許可を受けず、自家用車を使って営業する違法タクシーのこと)”だ。中国のSNSでは「日本のタクシーは世界で2番目に高く、欧米のそれよりも高い」「安心の中国語接客で包車(チャーター)できます」などと中国語で謳われ、予約を受け付けている。
気になる価格は「成田空港送迎・1回1万6000円」「東京都心エリア1日・3万7000円」など。客待ちしているタクシーに乗ると、日中でも成田空港から都心まではメーターで2万5000円以上になるので、いかに“白タク”が安いかがわかる。
国慶節終了翌日の10月7日、実際に記者が羽田空港国際線ターミナルに赴いた。乗客の出口には、40代と見受けられる中国語を話す男性がネームカードを掲げ、北京からのフライトでやってきた6人の高齢中国人客をピックアップする姿があった。中国人客らがスーツケースを転がしながら歩くこと5分、案内先の駐車場には10人乗りの白いハイエースが停められており、ぞろぞろと乗り込んでいった。ナンバープレートは埼玉県内のもので、もちろん自家用車を示す「白ナンバー」。運転手に問うと「中国の友達を迎えに来たんだ」と笑顔で話した。そう答えろと教えられているのだろう。
成田空港でも状況は似たようなものだ。空港で客待ちをするというタクシー運転手があきらめ顔でこぼす。
「いまや売り上げは東京都心までタクシーで行ってくれる外国人頼みだけれど、白タクが増えて商売あがったり。アプリか何かでやりとりしてるんだろうね、ナンバープレートをたよりにクルマを探し、白ナンバーのミニバンや大型ワゴン車に乗り込んでいく中国人らしきグループがよくいるよ。明らかに違法の白タク行為だろうけれど、聞いたところによれば、中国語でのやりとりのうえ、運賃のやりとりもすべて中国の金融機関で完結しているらしい。だから、取り締まるのは難しいんじゃないかな……」
ちなみに、中国人ドライバーらがスーツや制服を着ていることはまれ。ほとんどTシャツにジーンズなどのラフな格好だ。