「若い頃に憧れた業界」での仕事も選択肢に(イメージ)
給料が安くてもメリットが大きい
厚労省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、介護従事者の平均年収は約353万円(平均年齢43.8歳、平均勤続年数7.6年)でした。介護業界には若い男性の職員ももちろんたくさんいますが、若年層の年収は平均より低いとみられ、長くは続けられないのが実情のようです。新卒で入職した後、結婚適齢期を迎える若い職員の場合、「この給料じゃ家族を養えない」と30代を前に他の業種に転職していくケースも多いといわれます。
そのように慢性的な人手不足にある介護施設などの職場だからこそ、年齢が65歳だとしても元気があれば需要はあるはずです。
仮に再就職後の介護職の給料が年収300万円以下だったとしても、住宅ローンの返済が終わっていて、払うべき家賃もないとしたらどうでしょうか。あるいは年金を65歳からもらい始めるとしたら──。「安い」と思われていた年収の300万円が、必要十分な収入へと様変わりします。
その仕事で稼いだ分のお金で旅行に行けたり、自分の趣味にも使えるということです。実は「60代以降の再就職」には、「報酬が低い仕事でも選択肢にはなる」という大きなメリットがあるのです。
再就職先は介護職に限りません。たとえば文章を読んだり書いたりするのが好きな人が、60代前後からライター業を始めようした時、一定の文章力がある人ならば、年収100万や200万円くらいを目指すのは、可能性としてなくはないはずです。
「若い頃に憧れた業界」での仕事も
私が47歳から始めた映画の仕事でいえば、助監督で序列が3番目の「サード助監督」や「制作進行」など、撮影現場であらゆる雑務や交通整理を行う役割です。報酬は日当ベースでおそらく1万2000円程度のようですが、年間を通して安定した仕事ではないので、なり手が足りないのが現状です。
でも、シニアの再就職として選ぶ場合は、若い頃に少し憧れていた映画の世界に入れたり、役者さんと何か話ができたりと、非常に魅力にあふれた仕事と言えるのです。
報酬面で妥協できれば、結構面白い仕事に就くことができるのだとつくづく思います。なかでも生活費のベースがある年金受給世代というのは、それだけでかなり有利です。