例えば地方でタクシーに乗ると、年配の運転手の方が「僕ら、手取りだともう月12万円にしかならないです」と話しかけられることがあります。そんな人に限って、続いてよく出てくるのが「年金でももらわなかったら、やってられないです」の一言。もう、この人は運転が好きなんでしょうね(笑)

 そう考えると、「自分にスキルがない」と思い込み、居心地の悪さを我慢しながら勤務先で再雇用を求めたりするのはナンセンス。シニアの再就職先として人気のマンションや駐車場の管理人の仕事も、その仕事を好きでやるならいいのですが、単にお金のためにやるだけなら、考え直してもいい。

 低報酬でも面白い仕事はある──そのように考え方を変えて、若い頃に「稼げないから」と諦めた好きな仕事、業界にチャレンジするというのは、十分あり得る選択肢です。(了)

 

和田秀樹医師が80代以降に心身の健康を維持するための「べからず集」を紹介

ベストセラー作家の和田秀樹医師が現役世代の悩みを吹き飛ばす「生き方」のコツを指南(撮影/三浦憲治)

【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授、ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』は2022年の年間ベストセラー総合第1位(トーハン・日販調べ)に。

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