鑑真和上御身代わり像。2013年、秘仏の『鑑真和上坐像』に代わり、日々お参りできるように作られた御影像。国宝の鑑真和上像と同じ脱活乾漆を用いて、細やかに再現模造されている。「開山堂」に安置

鑑真和上御身代わり像。2013年、秘仏の『鑑真和上坐像』に代わり、日々お参りできるように作られた御影像。国宝の鑑真和上像と同じ脱活乾漆を用いて、細やかに再現模造されている。「開山堂」に安置

みほとけ:生で拝む仏様に圧倒されて、呼吸するのを忘れてしまいそう。国宝「千手観音菩薩立像」は大玉花火のような千手から後光がほとばしっています。ご本尊の国宝「盧舎那仏坐像」や国宝「薬師如来立像」の手も印象的で、指先まで太さが際立っている。ふくよかな指に温かさも宿り、仏様は遥か上の大きな存在なのだと、身に沁みます。

山下:天平時代は唐の仏教美術の影響が色濃く、金堂の造営などに尽力した如宝は鑑真和上と共に来日した弟子の胡国(ペルシャ)人。仏像も国際色豊かでした。平安時代に入ると唐風から独自の発展を遂げ、重要文化財「如来形立像」など仏像の個性が花開いていきます。

みほとけ:“唐招提寺のトルソー”、私も好きです。

山下:トルソーと称されるだけあってプロポーションが抜群です。チャームポイントは太腿。平安初期の9世紀に腿の造形に変化が生まれ、腿が太く張り出してきます。「如来形立像」は8世紀の制作で、過渡期の仏像と言えるでしょう。

みほとけ:金堂の「薬師如来立像」も9世紀の作で腿が立派です。金堂といえばぜひ、鴟尾の魅力も声を大にして伝えたいです。

山下:絶妙なアクセントになっていますね。国宝「金堂の鴟尾」の1基は奈良時代の創建から平成大修理(2000~2009年)まで金堂の大屋根を飾っていました。

みほとけ:鴟尾に迎えられると奈良を感じる。古の都へ想いを馳せる象徴です。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

みほとけ/1994年生まれ。タレント。アイドルとしてデビュー後、現在はピン芸人として活動。「お寺・仏像研究家」を自称し、芸名は本名の「みほ」と「ほとけ」から。拝観した仏像は1万体超。

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2023年10月27日・11月3日号

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