ノムさんよりも年上に
今季、岡田氏は「12球団の最年長監督」となった。改発氏は、岡田氏のこんな一言が印象に残っていると語る。
「ある日、岡田がしみじみと『オレ、ノムさんより年上らしいわ』と驚いていた。野村克也さんが阪神の監督に就任したのが1999年、63歳の時で、岡田は65歳。『あんな年寄りやと思ってたのに』と笑っていました」
野村氏も1980年に西武で現役を引退した後、ヤクルト監督に就任するまではTBS、サンケイスポーツで評論家を務めた。野村阪神で野村氏の懐刀としてバッテリーコーチに起用され、星野阪神、岡田阪神でも編成部長としてチームを支えた黒田正宏氏が語る。
「岡田はオリックス監督時代に3年連続Bクラスとなり、最後はシーズン終了前に休養となる屈辱に打ちのめされた感じもありましたが、そこから評論家になって、初めてユニフォームを脱いで、外から野球を見ることになった。
野村監督が『評論家時代は時間があり余っている。よく野球も見たし、色んなことを考えた』と言っていたように、岡田もこの10年は野球を深く考える時間になったでしょう。その経験が結果的に、岡田を一回りも二回りも大きくした」
名将・野村克也監督でも、阪神を日本一に導くことはできなかった。その偉業を今、岡田氏が成し遂げようとしている。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年11月10日号