増税を巡り批判を受けている岸田首相(写真は2021年。JMPA)
「財務省主導内閣」の実現
実は、麻生氏に「鈴木後継」を強く推しているのは財務省の首脳部だという。同省OBは言う。
「鈴木氏は財務金融政策行政に携わった経験がほとんどなかったから、大臣就任当初は役所も手腕を不安視していたが、勉強熱心で事務方が渡した資料を何度も読み込んでくれる。G7蔵相会議などの国際会議でも堂々としたもので、財務省の首脳部は、『鈴木大臣であれば総理も立派に務まる』と評価が高い。財務省は最も頼りにしている麻生さんにもそうした評価を伝えている」
財務省の「鈴木待望論」には理由がある。財務省は過去、自民党の多くの政権をコントロールし、民主党政権時代も、菅直人・元首相、野田佳彦・元首相の2人を「財務大臣からすぐ総理」のコースで政権に就けることで増税路線を敷かせたが、安倍氏の再登板以降は官邸の実権を握れなかった。
岸田政権は久しぶりの「財務省主導内閣」と見られているが、岸田首相は支持率が低迷すると「人気取り減税」に走った。「岸田がコケたら次は鈴木」というのは、麻生氏と財務省の思惑が一致した構想といえる。
振り返れば、鈴木氏の父・善幸氏が首相に就任したのも、予想外の人選と言われた。時の大平正芳・首相が総選挙中に急死し、急遽、後継首相を選ばなければならない状況で、キングメーカーの田中角栄氏が盟友だった善幸氏を指名したのだ。果たして、親子2代の“ダークホース首相”は誕生するか。