最近は液体に加工されたものなど、様々な形で出回っている。押収された大麻リキッド(イメージ、時事通信フォト)
「俺が知っている頃はマンションやビルのエレベーターが多かったが、今はどこも防犯カメラがついているからね。路上も駐車している車の車載カメラや、通りがかりの車のドライブレコーダーに映り込む可能性が高い。防犯カメラの位置さえ把握していれば、駅のホームの方がヤツらにとってはリスクが少ない」と元幹部はいう。いざという時、駅のホームならすぐに電車に飛び乗って逃げられるという計算もあるようだ。
薬物中毒者に売人は無理?
ネットで販売すると顧客はすぐに集まるらしいが、すべてを客にするわけではないという。「大きくやれば目立つし、パクられる確率が高くなる。売る側も捕まりたくはないからね」。
3月には指定暴力団稲川会系暴力団組長の男が、麻薬取締法違反と大麻取締法違反で愛知県警に逮捕される事件があった。SNSで抽選会を開き麻薬を無料配布、顧客の数は1000人を超えていたというが、その組員は「自分にとって安全な客かどうか、会って判断する。こういう基準というはっきりしたものはないが、勘だね。厳選した十数人ほどの客がいれば、生活に困らないだけの金にはなる」と幹部に話したという。
大麻を売るような組員なら、覚せい剤に溺れているようなイメージがあるが、「それはない」と元幹部はいう。「薬物中毒のヤツはフラフラしたり、目をギラギラさせて冷や汗をかいていたり、見るからに危ないんで、サツに見つかりやすい。売人は無理だ。常連客を持って商売をするヤツらは自分ではやらない。過去にはやってるやつが多いけどね」。
だがこのようなサイトを警察が見過ごすはずがない。「もちろん知っているさ。警察も絶えずチェックして、摘発のチャンスを狙っているはずだ」(元幹部)。
大麻取締法が75年ぶりに今国会で改正されることになった。大麻草を原料にした医薬品の使用が認められるが、これまでも違法とされていた所持や譲渡に加え「使用」も禁止されることになるという。「ヤツもそろそろ危ないだろうな」と、元幹部はそのサイトを閉じた。