甲府地裁

公判は12月まで続く予定となっている

「同年代の男の子が異性の子と食事に行く時、ある程度の地域や店を決めることがあると思います。しかし被告は行く地域を決めるだけでなく、店で何を注文するか決めるぐらい、細かい性格。几帳面が災いすることが多く、自分で敷いたレールを少しでも外れると、部屋にこもり、塞ぎ込む。自分にはこれしかないと考えると没頭し周りが見えなくなることがあった」(同前)

 被告は事件を起こす数日前から、「ドライブ行ってくる」と夜に出かけるようになった。これまで以上に笑わなくなり、「1人になりたい」と言っていたが、母親は、新型コロナワクチン接種の副反応の影響かとも思っていたという。そして事件前日の夜に「明日の夜は鍋が食べたい。夕飯は鍋にしてほしい」と言い、何も持たずに出かけて行った。

 母親は事件当日、鍋の準備をして被告の帰りを待っていたが、いつも夕食を食べる18時になっても帰ってこず、19時を過ぎても音沙汰がない。警察に捜索願を出しに行ったところ、息子が事件を起こし、出頭したことを知ったという。

 こうした母親の調書読み上げの際、両手でずっと耳をふさいでいた遠藤被告。事件を起こしたことで“レールを外れた”と思い、“塞ぎ込んで”しまったのか、この日の午後から始まった被告人質問では、証言台の前には座ったが、ずっと俯いたまま、弁護人の質問に一切答えることはなかった。

 翌日11月14日の被告人質問では同じように質問に答えない姿勢を見せたが、弁護人の問いかけのうち「どうして何も話さないのですか」という質問に対して、唐突に小さな声で「社会に戻るつもりがないからです」と答えた。続けて検察官が「もう少しそれについて詳しく説明できますか?」と聞くと「答えたくありません」と返答し、事件については一言も話さないまま、被告人質問は終わった。

 その後裁判では、被告が逮捕時に語ったという調書の読み上げが行われたが、そちらでは事件や生い立ちについて詳細に語っていた。

◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン