放送中の芳野アンカー。1時間ごとの進行表を手に、番組を進めていく
研究者、芸能人、アスリート、芸術家、医師、作家など、ゲストの顔ぶれも新旧多彩。
「番組は、年齢層もさまざまなディレクター陣やアンカー陣が企画を出し合い、それぞれの感性や得意分野を結集して作られています。番組自体がひとつの放送局といえるくらい、取り上げる題材はなんでもあり。深夜便のテーマは何?と聞かれるのが最も難しいのですが、しいて言えば“人生”でしょうか」
第2・4木曜を担当する村上里和アンカー(57才)をはじめ、多くのアンカーは企画の提案・リサーチから収録後の編集作業までも自身で行うという。
「全部自分で完結させるというのが、テレビでは体験できなかったこと。だからこそ達成感も大きく、リスナーからの反響があると『ああ、伝わった!』とうれしくなります」(村上さん)
台本はなく、天気予報など決められたものを読む以外は、すべてフリートーク。
「ゲストとのトークでは、話題がいろいろな方向に広がってもいいように、予めリサーチした資料をアンカーに渡していますが、先日『眠れない夜』について夏木マリさん(71才)に伺うと、『私、眠れないことないのよね』とひと言。こうなると、後はアンカーにお任せするのみ(笑い)。そんなこともよくあります」(山田さん)
「私は曲名リストの紙を紛失し、曲紹介にあたふたしたことが。それを森田美由紀さん(64才)に話したら、『そういうときは“音楽です、お聴きください”とだけ言って、曲の間に探すといいのよ』と教えてもらいました(笑い)」(村上さん)
アンカーは会話力、瞬発力、度胸などさまざまな能力が必要なのだ。そして、それ以外に求められる要素は、好奇心だという。
「いろいろな分野を扱うので、多方面に興味や関心を持ち、得意分野をひとつ持っていることが重要です。
そして何より、伝えたいという気持ちを持っていること。ラジオって、語り手の人柄が出るんです」(阪本さん)
(後編に続く)
取材・文/佐藤有栄 写真提供/NHK
※女性セブン2023年12月14日号