ピッチャーの使い方を知っている

 南海、西武で捕手としてプレーし、引退後は西武、ダイエー、阪神でコーチやヘッドコーチを歴任後、阪神の編成部長として鳥谷敬などの入団交渉を担った黒田正宏氏(野球評論家)はこうみる。

「やはり中嶋聡監督(54)の手腕が大きい。オリックス、西武、横浜、日本ハムと現役を続け、日本ハムでは9年間にわたって兼任コーチをしてきた。引退後は日本ハムと提携するパドレスへコーチ留学し、帰国後は日本ハムとオリックスでコーチや二軍監督をしたという経歴の持ち主です。

 現役時代は上田利治、仰木彬、東尾修、伊原春樹、ヒルマン、梨田昌孝と様々なタイプ監督の下でプレーしたし、引退後も栗山英樹、西村徳文といった監督の下で指導者として多くを学んできました」

 そうしたキャリアを踏まえ、とくに「ピッチャーの使い方を知っている」というのが黒田氏の評価だ。

「先発もできる人材を中継ぎに回してブルペンを充実させる。今季でいえば宇田川、山崎颯を配し、ストッパーとして平野佳寿(39)を置く。平野がへばってきたら宇田川や山崎を抑えに回すわけです。阿部翔太(31)、比嘉幹貴(41)も加えて調子を見ながら臨機応変にできる監督です。

 攻撃でも打線を固定せず、143試合で135通りの日替わりオーダーを組んだ。奇策による好采配で『仰木マジック』と呼ばれた仰木監督も相性によってオーダーを変えたが、(阪急、近鉄を率いた)西本幸雄さんの下で勉強したことが大きかった。そういった西本イズムが中嶋監督にも引き継がれているのではないか。ましてキャッチャー出身の監督ということで、選手個々だけでなく、グラウンド全体を見渡すことができる」

 主力が抜けてもそのたびに穴が埋められるのは、編成面が優れているということでもある。黒田氏はこう続ける。

「ドラフトと育成を主眼に置いたチーム作りができている。二軍監督経験もある中嶋監督が自分の目で見て引き上げる。特にキャッチャーの目で、ピッチャーを見られるのが大きいんじゃないか。

 昨シーズン途中で宇田川が活躍するようになり、今季は東が出てきた。森をFAで獲得したのも大きいし、このオフも広島からFAで西川龍馬(29)を獲得するなど他球団ではポジションの重複するような補強が多いなか、オリックスはピンポイントで獲得をしている。

 その中嶋監督をフォローしているのが福良淳一GM(63)です。福良GMもオリックスだけでなく、ドラフトと育成に長けた日本ハムでヒルマン、梨田、栗山という各監督の下で8年間のコーチ経験がある。外で勉強してきたことが大きいんでしょう。福良GMは監督を退任後、育成統括マネージャーになると、ドラフトを3年連続で高校生を1位指名してきた。その高卒1位の宮城、山下が活躍している。

 もちろん山本はチームの柱でしたから、抜けた後の柱を誰にするのかという問題はあります。あまりに太い柱だっただけに、キャンプでの中嶋監督が動向は注目です。ただ、また新星が出てきて、リーグ4連覇の可能性は十分にあると思います」

※週刊ポスト2024年1月1・5日号

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