りんご娘時代の王林(りんご娘のInstagramより)
──今はどれぐらいのペースで「リセット」できていますか。
「ありがたいことにすごく忙しいので、月に2~3回しか帰れていません。それ以外は、ホテル暮らし。もともと料理を作るのが好きなんですが、ホテルだとそれもできない。人間の生活にとって重要な『衣・食・住』のなかで、衣と食は『住』次第みたいなところがありますよね。毎日のようにホテルに泊まっていると、洋服や荷物の入れ替えをエンドレスでずっとしている感覚。
便利さだけを考えたら、東京に家を構えるという方法もあるのかもしれませんが、すぐ青森に帰れる状況にしておきたい。ホテルの方が行き来しやすい。あと、東京にも家があると、仕事のあと、『帰った』ことになってしまう。ホテル暮らしだったら、『ずっと家に帰っていないから、早く家に帰してね』って言いやすいですよね(笑)」
──この秋から、本格的にスタートしたソロでの音楽活動にも、青森への想いが込められているそうですね。
「りんご娘卒業後も、『また歌って踊って欲しい』という声は、たくさん届いていました。ただ、ひとりでも音楽をやっていくべきなのか、そこがよく分からなかった。自分自身とコミュニケーションを取って、よく考えました。音楽は好き。音楽に関わることはしたい。それなら、りんご娘のときもそうだったように、青森について発信していく音楽をやっていこうと考えたのですが、新しいスタッフさんたちにその想いを理解してもらうのに時間がかかりました」
──11月15日、「Ourin -王林-」名義でリリースした2曲『Play The Came/ハイテンション』には、歌詞に津軽弁が入っていたり、MVのロケ地に青森が使われていたりと、王林さんの青森愛が散りばめられています。
「最初にできあがった曲には、そういった青森の要素がまったく入っていなかったんです。ソロとしても音楽活動を続けるなら、王林がやる意味がある音楽、王林だからこそできる音楽がやりたかった。こういうものがやりたいという王林の気持ちと、こういう音楽をやって欲しいというスタッフさんの考えをきちんと繋ぎ合わせるのが、思っていた以上に難しかった。音楽でもアパレルでも、やりたいことはいっぱい浮かんでくる。ただ、やりたいことが明確であればあるほど、そこにめがけてちゃんと伝えることが難しくなってきますね」
──確かに、自分のやりたいことが明確でなければ、流れに身を任せることもできます。王林さんは、流されるタイプではなさそうですね。
「全然、違いますね(笑)。青森には『じょっぱり』という言葉があります。『じょっぱりだなぁ』というのは、良くも悪くも『頑固だねぇ』みたいな意味。王林は、ホント『じょっぱり』なんです」