避難所ではトイレ問題が深刻に(時事通信フォト)
道路で大胆に放尿
直面するのは、通行の問題だけではない。穴水町や輪島市・珠洲市などでは震災当日から断水状態が続いている。避難所では仮設トイレが設置されるまでの数日間、水が使えず流すこともできず、住民は汚れや匂いに悩まされていた。避難生活を続ける70代女性が言う。
「ボランティアでいらっしゃった方が、立ち小便をする姿が目につきます。茂みに入っていく人はまだいいですけど、車から出て道路で大胆にする人もいました。避難所のトイレが汚くて使えないのはわかりますが、ただでさえ衛生環境が悪いのにとストレスに感じてしまいます。
炊き出しのカレーを食べていた県外からの方もいました。話し相手になってくれるだけでもありがたい気持ちはあるんだけど、いまは遠慮してほしいんです」
穴水町の役場の男性職員は、限られたガソリンの消費も懸念していた。
「1台3000円分の給油量に制限されたスタンドがギリギリで営業しているなか、そこに行列を作って給油する県外ナンバーの車もいます。金沢に戻れば制限なく給油ができるのに……。
個人で持ってこられる物資の量には限界がありますし、それが現地で本当に必要かどうかはその時にならないとわからない。積雪や大雨の影響もあるので、双方のためにも、現地での支援は待っていただきたい」
善意であっても被災者を困らせることになっては本末転倒である。
※週刊ポスト2024年1月26日号