FA移籍に伴う人的補償で、ソフトバンク・和田毅(42)の“西武移籍”が報じられた騒動。和田は「もうその件には触れたくない」と心境を吐露しつつも、「自分ができることはチームのために一生懸命投げることだけ」と前を向いている。ホークス番記者が語る。
「そもそも強制性交の疑いで書類送検(その後、不起訴)され西武で無期限出場停止だった山川穂高(32)をFAで獲得することに否定的な意見は多かった。その人的補償として流出するのが、ホークスの顔であり、将来の監督候補である和田だと報じられ、球団にはさらに激しい抗議の電話が殺到したといいます」
人的補償からプロテクトされる28人に和田が含まれず、移籍情報が報じられた当日中に、西武が和田ではなく160キロ右腕・甲斐野央(27)の獲得を発表したことも波紋を広げた。
指摘されるのは制度の“欠陥”だ。パ球団の元編成担当が話す。
「プロテクト名簿は両球団の間で共有するもので、NPBは把握していません。だから、ソフトバンクが当初はプロテクト名簿に入れていた甲斐野を差し出したのかは、両球団の数少ない担当者が口をつぐめば真相は闇。いずれにせよ、和田の強行指名もできた西武がそれをしなかったのは大人の対応というか、どの球団もお互い様という面もある。強硬に進めても、次のFAの機会などに禍根を残すだけですからね」
二軍球場に“和田ロード”
今季で43歳を迎える和田は、昨季もチーム2位の8勝をあげ、小久保裕紀・新監督(52)は「開幕ローテに当確」と明言していた。長年ホークスに貢献した功労者で、「若鷹の手本」でもある。2004~2008年にダイエー、ソフトバンクで投手コーチを務めた杉本正氏が語る。
「和田は歳を重ねるごとに自分のスキルなどを惜しみなく周りに教えるようになった。若手に慕われるのは当然ですね。若い頃は“自分が”という気概も前に出ていましたが、とくにメジャーに挑戦してソフトバンクに復帰した2016年頃から、後輩に自分の経験を伝える姿勢を見せるようになった。
43歳まで現役でいられるのも、野球への真摯な姿勢の賜物。筑後にあるホークスの二軍球場には、故障した和田が来る日も来る日もランニングし、芝生が禿げた“和田ロード”があります。ボクも楽天の二軍コーチ時代、筑後遠征のたびに選手に見せていましたよ」