週刊ポスト(2024年2月2日号)で報じた岸田首相「祝う会」政治資金規正法違反疑惑の構図
お話しできないの一点張りなのだ。その後、雄翔会支部の事務所が置かれているB社から文書でこう回答があった。
「A(文書では実名)に確認をしたところ、(雄翔会支部の)会計責任者に就任していること、また法人の取締役に就任している事は承知しております」
本人は全く知らない様子だったのに、会社を通じた回答では「承知している」になるとは奇妙極まりない。
実は、岸田首相とA氏とは先代からの関係だ。A氏の父(故人)は岸田首相の支援者で、首相に献金もしていた。雄翔会支部の事務所が置かれているB社の法人登記からは、約30年前に岸田首相や裕子夫人、雄翔会支部代表の金庫番秘書が、A氏とともに役員を務めていたことがわかった。
この経緯から、岸田首相側が選挙運動の収支報告書や雄翔会支部の会計責任者にA氏の名義を借り、“名ばかりの会計責任者”にしていたのではないかとの疑問が浮かぶ。
安倍派裏金問題を告発した上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「雄翔会支部の会計責任者が、自身が会計責任者になっていることを知らなかった。つまり、勝手に名前を使われていたとすれば、政治資金規正法の虚偽記載に該当する可能性があります。
このケースは会計責任者がその任を務めていないということですから、同支部の収支報告書は別の人物が書いたものと考えられます。25条では、名前を使われた会計責任者ではなく、実際に収支報告書を書いた者が一義的には罰則(5年以下の禁固または100万円以下の罰金)の対象になります。また場合によっては、刑法の有印私文書偽造、同行使罪が成立する可能性もあります。
代表は岸田首相の金庫番秘書なわけですから、実質的に岸田首相の関連団体と捉えることもでき、岸田首相も責任を問われるべきでしょう」
岸田事務所は、「雄翔会支部の会計責任者は選管に届出している通りです」と回答し、あくまでもA氏の名前で押し切る構えだ。
(後編につづく)
※週刊ポスト2024年2月16日号