右目の失明と癌を乗り越えた尾畠さん
白髪交じりの無精ひげで笑いながら話す尾畠さんだったが、それは突然の告白だった。
「去年の5月に白内障だか緑内障だかよう知らんけど、もう右目が完全に見えなくなりました。以前は視力も良かったんだけど、ここ数年でガクンと悪くなってね。
去年、免許を更新したけど、片目でも大丈夫と言われて、今でも90ccのカブは毎日乗ってます。大型一種の免許は更新できなかった。前はダンプもミキサー車でもなんでも運転してたんだけどね」
長年、体を酷使したためか、病で右目の視力を失っていた尾畠さん。そして体からは癌も発見されたという。
「目が悪くなったついでに全身を検査したんですよ。そうしたら胃袋と食道が繋がるところに癌が見つかった。でも腹を裂かずに内視鏡っていうのかな、それで癌を切りました。なんだかんだ1週間くらい入院したかな。でも帰ってきたらすぐにゴミ拾いは始めましたよ(笑)。今はすっかり元気で飯を食うてます(大笑)。息子も近くにいるし、娘が2日に1回は料理を持ってきてくれますから」
右目の失明と癌を乗り越えた尾畠さんにはこんな目標があるという。
「去年も熊本の益城町の土砂災害があった際に現地入りしてボランティア活動したし、体調はもう大丈夫ですよ! 事故で故障した車は修理に1カ月かかるみたいで、車が戻ってきたらすぐにとはいかないけど、体と相談して、現地に向かうつもりでいます」
そう語る尾畠さんは、家庭菜園で採れたというカボスが入りの特製飲料を飲みながら、車の修理が終わるのを待っている。
(了。前編から読む)