約4万人から選ばれデビューに至った鳥羽さん
4万人から選ばれてデビュー
和歌山県出身の鳥羽さんは、県立大成高校を1年弱で中退し、1995年、アミューズ主催の「才能の祭典オーディション」で約4万人から選ばれデビューに至ったのだが、芸能界を夢見ていたわけではなかったという。
「行きたくないと思いながら高校に入って、3年後、みんなと横並びで就職するんだ、と思ったら馴染めなくて。中退して大工の見習いに行ったら、親方に『まずは1年思いっきり遊びたおしてからこい』と言われ、大工見習いは中断しアルバイトばかりしていました。
そうしたら、心配した母親がオーディションに応募したんです。サボるつもりだったオーディションも、友だちに『行ってこい』としきりに勧められ……。オーディション慣れしている他の応募者に比べ、僕のやる気がなさそうなところが良かったのか、最終的に選ばれて心がついていきませんでした」
原石だった鳥羽さんの魅力に周囲は気付いていて、背中を押してくれたのだろう。
鳥羽さんといえば、ポッキーの出演CMの印象も強い。当時“不思議ちゃん”キャラで大人気だった吉川ひなのから熱烈アプローチを受ける高校生を演じた。
「自転車で坂を走って『男は、好きだなんて言わねぇんだよ』と言うバージョンをよく覚えています。相米慎二監督のCMだったのですが、恐ろしいくらい何十回も自転車で坂を上ったり下りたりしました。でも、監督は『今のはすごい良かったけど、15秒の尺におさめないといけないからもう一度』という言い方をしてくれるので愛を感じるんですよ。何テイクも取り直しをさせられても、苦になりませんでした。
ひなのちゃんはいつも元気いっぱいでしたよ。“生ききってる”という感じでした。田舎から出てきたばかりの僕にとっては、ひなのちゃんは本当に人形みたいなルックスだし、たまに元気すぎてよくわからないようなところがあって、隣にいるのに違う世界にいる人みたいだな、と思いました(笑)」
カンフーをモチーフとしたSFアクションドラマ『聖龍伝説』(日本テレビ系)のファンも多い。同作ではドラマ『家なき子』(日本テレビ系)などで、やはり人気絶頂だった安達祐実とのダブル主演だった。
「安達祐実さんを立ち回りでケガさせたら大変だ、と気を遣いました(笑)。実は安達祐実さんとは3回共演しているんです。10代の『聖龍伝説』のあと、20代でNHKのドラマ『グッド★コンビネーション』、30代で昼ドラマ『娼婦と淑女』。でも、友だちのように親しく話をしたりはしませんでした。同年代の共演者というより、“尊敬している人”なんです」